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大小数千の島が織りなす ポリネシア・トライアングル

太平洋諸島は、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの3つの海洋地域に分かれています。ここハワイ諸島がポリネシアに属していることはご存知かと思いますが、ポリネシア全体については三角形の海域でサモアやタヒチが属しているなど、大まかなことは知っているという方が多いのではないでしょうか。今回のエキストラ特集では、島ごとの地理、文化、歴史などを通し、私たちの住むポリネシアについて詳しくなってみましょう。Google Earthで各島の場所を確認しながら読むと、バーチャル旅行気分で楽しさ倍増です!

地理

語源は「多くの島」を意味するギリシャ語  

 ポリネシアはハワイ諸島(ミッドウェー諸島)、ニュージーランド(マオリ語でアオテアロア)、イースター島(ラパ・ヌイ)を結んだ三角形内にある島々の総称で、ギリシャ語で「多くの」を意味する「ポリ」と「島」を意味する「ネソス」が語源です。

 総人口は2017年時点で約700万人。1832年、フランスの海軍提督ジュール・デュモン・デュルヴィルが、近隣の島々であるメラネシア、ミクロネシアと区別するためにポリネシアという名前を付けました。

歴史

祖先は台湾のモンゴロイド系民族
 ポリネシア人の祖先はモンゴロイド系の民族で、その民族の祖先は台湾に定住していたと考えられています。紀元前2500年頃、一部の祖先が台湾から南へ下り始め、フィリピンを経て、紀元前2000年頃にインドネシアのスラウェシ島に上陸しました。原ポリネシア人となったスラウェシ島のラピタ人たちは、その後も東へ移動を続けました。ニューギニア、メラネシアを経由し、紀元前1100年頃にフィジー諸島に到達。紀元前950年頃にはフィジーからポリネシアへの移住を開始しました。サモアやトンガに上陸した彼らは、以後約800年間にわたり東進を中止しますが、その間に原ポリネシア文化が構築されたと考えられています。
高い航海技術による交易
 文化を確立したポリネシア人たちは、1世紀頃から再び東へ移動を始めます。彼らは、カタマラン(双胴船)やアウトリガー・カヌーを使って航海をし、エリス諸島、マルキーズ諸島、ソシエテ諸島に移住しました。その後、紀元300年頃にイースター島に到達し、400年頃にハワイ諸島、1000年頃にはクック諸島とニュージーランドに上陸し定住しました。こうして太平洋に拡散したポリネシア人たちは、天体、海流、風向き、生物の動きなどの自然観察によって航路を推測する航海術「ウェイ・ファインディング」で互いに行き来し、交易を行いました。
ポリネシアのカタマラン(双胴船)
インドネシア・ジャワ島のボロブドゥール遺跡に刻まれたアウトリガー船

ポリネシアに含まれる国と地域

ニュージーランド

人口:約450万人(2019年) 

首都:ウェリントン 

公用語:英語、マオリ語、ニュージーランド手話

 マオリ語ではAotearoa(アオテアロア)と呼ばれています。aoは「雲」、teaは「白」、roaは「長い」で「白く長い雲」を意味します。950年頃に上陸した最初のポリネシア人が、ニュージーランドの先住民族であるマオリ人の祖先になりました。

  首都は北島南部のウェリントンですが、最大の都市は北島北部にあるオークランド。人口約163万人(2018年)のオークランドはポリネシア地域最大の都市でもあり、マオリ語ではTāmaki-makau-rau(タマキマカウラウ)と呼ばれています。

ニュージーランド固有種の鳥「タカへ」の親子。大きさはニワトリほどで、飛ばない

太平洋諸島は、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの3つの海洋地域に分かれています。ここハワイ諸島がポリネシアに属していることはご存知かと思いますが、ポリネシア全体については三角形の海域でサモアやタヒチが属しているなど、大まかなことは知っているという方が多いのではないでしょうか。今回のエキストラ特集では、島ごとの地理、文化、歴史などを通し、私たちの住むポリネシアについて詳しくなってみましょう。Google Earthで各島の場所を確認しながら読むと、バーチャル旅行気分で楽しさ倍増です!

キリバス

人口約11万人(2015年) 

首都:タラワ 

公用語:キリバス語、英語

 赤道付近350万km²もの範囲に点する33の環礁(環状のサンゴ礁)で構成されており、ギルバート諸島、ライン諸島、フェニックス諸島の3つの諸島とバナバ島から成っています。

  ライン諸島で有名な島はクリスマス島とミレニアム島。クリスマス島は世界最大の環礁として知られ、ミレニアム島は1995年の元旦に日付変更線が変わったことで世界で最も早く日付の変わる島になったことから、新世紀の年越しを前に「カロリン島」から改名されました。

サメの歯がついた武器を持つキリバス・タビテウア島の戦士たち(1841年頃)

サモア

人口:約18万1000人(2011年) 

首都:アピア 

公用語:サモア語、英語

 東南アジアやメラネシアから長距離航海をしてきた人々が最初にたどり着いた島々です。以前は西サモアと呼ばれていた「サモア独立国」と「アメリカ領サモア」に分かれていますが、言葉・文化共に同じサモア人が住んでいます。2011年に日付変更線が変更され、サモア独立国とアメリカ領サモアの間に24時間の時差ができました。

サモアの指導者の一人、ラウアキ・ナムラウウル・マモエ(上段中)。ドイツ領時代の1909年、植民地支配に抵抗したため追放されサイパンに亡命

ツバル

約1万1000人(2017年) 

首都:フナフティ 

公用語:ツバル語、英語

 ポリネシアの最西端にある最小の国で、9つの環礁島で構成されています。島々は北西から南東にかけて約700kmの距離で連なっており、昔の日本ではエリス諸島と呼ばれていました。土地面積は26㎢、人口は約1万1000人。人口密度は1㎢あたり約400人と日本の340人を上回り、ポリネシアの中では最も人口密度の高い国です。ツバル語でtuは「立ち上がる」、valuは「8」という意味があり、昔から人が住んでいた8つの島(ナヌメア、ナヌマンガ、ニウタオ、ヌイ、バイツプ、ヌクフェタウ、フナフティ、ヌクラエラエ)が国名の由来です。9つ目の島、最南端のニウラキタ島に人が住み始めたのは1949年のことでした。

伝統的な衣装を着たツバルの男性(1841年)

トンガ

人口:約10万3000人(2011年) 

首都:ヌクアロファ 

公用語:トンガ語、英語

 周辺の島々がヨーロッパ列強国に支配されていた中、一度も植民地にならず、現在まで王制が残るポリネシア唯一の王国です。祖先はポリネシアへ移住してきたラピタ人の一部。紀元前800年頃ののラピタ式土器が出土したポリネシア最古の遺跡があり、サモア、フィジーと共にポリネシア文化の発祥地のひとつとされています。古代にはカヌーの大軍でポリネシア各地への遠征が行われ、最盛期の12世紀頃にはオセアニアの広い地域に勢力を持っていました。 

 日付変更線のすぐ西にあり、約362,000㎢の経済水域に大小約170の島々があり、南からトンガタプ、ハアパイ、ババウ、ニウアスの4つの諸島を構成しています。

トンガ国王・トゥポウ6世(2015年)

ニュージーランド自由連合国

クック諸島

人口:約1万500人(2013年)  

首都:アバルア

公用語:クック諸島マオリ語、英語

 主島ラロトンガ島から1100km西北に離れた孤島、プカプカ島。島には3つの集落があり、タロイモ作りや漁で生活している。独自の言語「プカプカ語」を話すポリネシア東部に位置し、24の環礁と火山島から構成されています。立憲君主制国家ですが、ニュージーランドとの自由連合形態をとっているためニュージーランド王国を構成する国のひとつとされています。主権国家と同じように内政や外交を行っているものの、国防や外交の最終決定権はニュージーランドにあり、クック諸島の住民もニュージーランド国籍を持っています。

主島ラロトンガ島から1100km西北に離れた孤島、プカプカ島。島には3つの集落があり、タロイモ作りや漁で生活している。独自の言語「プカプカ語」を話す

ニウエ

人口:約1500人(2018年)  

首都:アロフィ

公用語:ニウエ語、英語 

フランス領

ウォリス・フツナ(海外準県)

人口:約1万2000人(2013年)

行政所在地:マタウトゥ

公用語:フランス語

 ウォリス・フツナは3つの伝統的な王国があります。現在もウベア島の「ウベア」、フツナ島西部の「シガベ」、アロフィ島とフツナ島東部の「アロ」に分かれ、3人の王がそれぞれの地域をまとめています。

マタウトゥ(1862年)

フランス領ポリネシア(海外準県)

人口:約28万3000人(2015年)

行政所在地:パペーテ

公用語:タヒチ語、フランス語

 250万㎢の海域に118の島があり、そのうち67島に人が住んでいます。ソシエテ諸島、オーストラル諸島、バス諸島、トゥアモトゥ諸島、ガンビエ諸島、マルキーズ諸島で構成され、リゾート地として有名なタヒチやボラボラ島はソシエテ諸島に属します。人が居住し始めたのは650年〜850年頃。その後1200年頃にタヒチ人たちがハワイへ渡ったと考えられており、ハワイ文化はタヒチ文化と密接な関わりを持っています。

アメリカ領

ハワイ州

人口:約142万人(2019年)

州都:ホノルル

公用語:ハワイ語、英語

 ハワイの文化の基盤には、ポリネシアンの先祖が島々を移動しながら受け継いできた文化とハワイ独自の文化があります。そこにヨーロッパ人が持ち込んだキリスト教文化、日本やフィリピンなど各国からの移民が持ち込んだ文化などが混在し、多様でユニークな文化や生活が形作られています。

カメハメハ大王像(ハワイ島カパアウ)

アメリカ領サモア

人口:約5万6000人(2018年)

首都:パゴパゴ

公用語:サモア語、英語

 非自治的・未編入領域と定義されているアメリカ領サモアは5つの火山島と2つのサンゴ礁から構成されています。漁業が盛んで、アメリカで消費されるマグロ缶の25%はパゴパゴにあるアメリカ資本の缶詰工場で生産されています。

合衆国領有小離島 人口:約300人(2009年)

パルミラ環礁、ミッドウェー島、ジョンストン島、 キングマン・リーフ、ジャーヴィス島、ベーカー島、 ハウランド島

イギリス領

ピトケアン諸島

人口:56人(2016年)

首都:アダムスタウン

公用語:ピトケアン語、英語

ニュージーランド領

人口:1383人(2013年)

公用語:トラケウ語、英語

 トラケウという地名はトラケウ語で「北風」を意味します。アタフ島、ヌクノノ島、ファカオフォ島の3つの環礁から構成され、人々の生活は主に出稼ぎと自給自足で成り立っています。首都はなく、各島に行政センターがあります。海抜高度が低いため、地球温暖化による海面上昇が続けば21世紀中に3島全てが海に水没すると言われています。

チリ領

イースター島

人口:6600人(2016年)

公用語:ラパ・ヌイ語、スペイン語

 島の別名はポリネシア語で「広い大地」を意味する「ラパ・ヌイ」、スペイン語ではパスクア島と呼ばれています。かつては「世界のへそ」を意味する「テ・ピト・オ・ヘヌア」、「天を見る眼」を意味する「マタ・キ・テ・ランギ」とも呼ばれていました。チリのバルパライソ州・パスクア島県に属していますが、一番近い有人の島まで直線距離で2000kmもある絶海の孤島です。モアイ像が作られ始めたのは、最初のポリネシア人が到達した10世紀頃と考えられています。

島に点在するモアイ像

域外ポリネシアPolynesian outlier

 ミクロネシアとメラネシアに点在するポリネシア文化を保持した島々を域外ポリネシアといいます。域外ポリネシアには、ハワイを含む現在のポリネシア・トライアングルでは消え去った古代の知識や文化が継承されている地域があります。
 
ツバル系
●ミクロネシア連邦……ポンペイ州カピンガマランギ環礁、ヌクオロ環礁
●パプアニューギニア……ブーゲンビル自治州ヌグリア環礁、タクー環礁、ヌクマヌ環礁
●ソロモン諸島……マライタ州オントンジャワ環礁、シカイアナ環礁
 
フツナ系
●ソロモン諸島……レンネル・ベローナ州レンネル島、テモツ州サンタ・クルーズ諸島、ダフ諸島、ティコピア島、アヌータ島
*サンタ・クルーズ諸島にあるタウマコ島は、古代ポリネシアの航法技術に最も近い技術を継承している島として注目を集めています。
●バヌアツ……シェファ州エマエ島、エファテ島、タフェア州アニワ島、フトゥナ島
●ニューカレドニア……ロイヤルティ諸島ウベア島
 
その他
●フィジー……ロツマ島

トリビア

サンゴ礁でできた環状の島「環礁」

 ポリネシア・トライアングルに多く存在する環礁。ダーウィンが唱えた沈降説では、次のような過程で形成されると考えられています。

ツバルのフナフティ島など人が住む環礁も多数存在する
  1. 火山島ができる
  2.  島の周囲にサンゴ礁が形成される
  3. 島が沈降するに連れ、サンゴ礁のみが上に成長して島を環状に囲む
  4. 島が海面下に完全に沈み、海上に礁湖(ラグーン)が残る

 



【参考URL】2020年4月20日アクセス

・国際機関太平洋諸島センター「各国情報アーカイブ」https://pic.or.jp/country_information/

・外務省「太平洋諸島諸国ってどんな国や地域があるの?-参加国紹介」https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ps_summit/palm_05/kuni.html

・Polynesian Cultural Center「ポリネシアとは?」https://polynesia.jp/park/polynesia/

・「フランス領ポリネシア」https://ja.wikipedia.org/wiki/フランス領ポリネシア

・「ポリネシア」https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリネシア

・”Polynesian culture CULTURAL REGION, PACIFIC OCEAN” https://www.britannica.com/place/Polynesia

・The Bitsy Stage “Fact about Polynesia”https://bitsystage.com/copy-of-facts-about-polynesia

・画像出典  Public Domain, Wikipedia, Pixabay, Shutterstock 他

 

(日刊サン 2020.4.24)

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