マウイ島ラハイナとクラの火災から4カ月以上が経った今も、多くの被害が残っているが、カフルイの小さな宝飾店「ノ・カ・オイ・ジュエラーズ(No Ka ‘Oi Jewelers)」では、火災によって傷ついたジュエリーを修復することで、癒やしの一端を担っているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ノ・カ・オイ・ジュエラーズのオーナーであるオミとアイエレット・チャムディ夫妻は、フェイスブックにて、マウイ島の山火事で焼けて損傷した宝飾品を被災者1人につき2個まで無料で修復することを発表した。夫妻のもとには500個もの修復依頼が来ており、現在もさらに増え続けているという。
オミ氏は、「ジュエリーのひとつひとつの裏には、素晴らしい物語があることを私たちは知っている。記念日や特別な人を称えるために贈られることが多い」と話している。
アーヴィン・フジイさんは、92歳の母のサダエさんのために修復されたハワイアン・ブレスレットを受け取りに店に立ち寄ったとき、満面の笑みと少しの涙を浮かべ、「信じられない。ここに持ち込んだ時とは全然違う。焦げて小さくなっていたのに。今はとても大きく見える」と語った。フジイさんにとってこのブレスレットは高価な家宝であり、修復の仕上がりにとても満足している。
オミ氏によると、全ての宝飾品を修復できるわけではなく、真珠やオパールのような柔らかい石、コスチューム・ジュエリーは、通常、長持ちしないものだという。しかし、黒く変色した貴金属や、灰に燻された硬い石、特にダイヤモンドの修復には成功している。彼らは生存者と協力して、できる限りのものを救い出している。
多くの家屋や建物が山火事によって失われたが、硬い石や貴金属でできたジュエリーは、灰の中から見つけ出されることがある。スーザン・ファレスさんは、灰の中からブレスレットとハートのロケットを見つけ出した。ブレスレットは亡き姉がプレゼントしてくれたもので、チャムディ夫妻の手によって修復された。ロケットはステンレス製で修復は不可能だったが、ファレスさんは見つけ出すことができて喜んだ。ロケットには、亡くなった息子の遺灰と写真が入っていたのだ。「私はすべての写真を失った。でも、この2つの写真はある。希望の光であり、前に進むための確かなものであることを思い出させてくれる」
チャムディ夫妻は、大火の被害を受けた人々が、自分たちの遺志を継ぐための何かを見つける手助けをすることが大好きだという。オミ氏は、「災害の後には、目の前が真っ暗になることがある。でも、ジュエリーが修理に出され、きれいになって戻ってくると、見方が変わるんだ。希望が悲しみを取り除いてくれるようにね」と語った。
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画像:facebook / NO KA ‘OI Jewelers
(日刊サン 2023.12.26)