ハワイ大学(UH)マノア校の研究者チームは、8月8日(火)に発生した山火事がマウイ島の住民に与えた短期的・長期的な健康への影響を調査するため、マウイ島住民に協力をあおいでいる。
ホノルル・スター・アドバタイザーの報道によると、UHマノア校のルーベン・フアレス教授とアリカ・マウナケア教授が率いる研究チームは、「マウイ山火事曝露コホート研究(Maui Wildfire Exposure Cohort Study)」のために、ラハイナとクラの住民1000人を募集している。目的は、マウイ島火災の被災者の健康と幸福をモニターし、今後5年から10年、場合によってはそれ以上にわたって、環境危険への曝露と長期的な健康上の結果との間に関連性があるかどうかを調べることにある。
研究者たちはまた、ハワイ先住民、太平洋諸島出身者、フィリピン系、ヒスパニック系など、マウイ島特有の多民族が社会経済的要因とともに健康に及ぼす影響を調べるためのデータ収集も期待している。
UHジョン・A・バーンズ医科大学のエピゲノミクス学教授であるマウナケア氏は、「これは、山火事にさらされたことによる直接的な健康への影響だけでなく、その原因である可能性のある慢性疾患の長期的な発症についても理解しようとする、ハワイでは数少ない研究のひとつだ」と語った。
同氏によると、山火事の後、有害物質にさらされることが、心臓病や肺の問題、あるいは長期的には癌の発症リスクを高めるといった症状の発症にどのようにつながるかについての研究はほとんどないという。
研究者たちはまた、ハワイの多民族における既存の健康および社会的不平等が、山火事によって悪化しているかどうかも調査する。例えば、ハワイ先住民は、乳がんや肺がん、その他のがんにおいて、米国の全民族の中で最も高いリスクがあると見られている。さらに、フィリピン系アメリカ人のがん罹患率は過去30年間で劇的に増加している。これらの人々は、山火事の前から、喫煙、肥満、貧困などの慢性疾患の危険因子の割合が高いことがわかっている。
研究に参加できるのは18歳以上で、8月8日にマウイ島で発生した山火事の影響を受けた地域に居住または勤務しており、少なくとも今後5年間はハワイに滞在する見込みのある人が対象となる。身長、体重、血圧の測定とともに、問診、健康診断、唾液、尿、血液サンプルの採取が行われ、チームは、炎症などのストレスのバイオマーカーとともに、重金属への曝露を測定することを目的としている。参加資格があり、健康測定基準をクリアした人には100ドルが贈られる。
研究や参加の詳細はこちら。
https://www.mauiwes.info/
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(日刊サン 2023.12.22)