「ハワイアン・エレクトリック」社は、11月29日(火)、「インナージェックス・リニューアブル・エナジー」社がマウイ島南部に計画していた太陽光発電所開発「パエアフ・ソーラー」プロジェクトが中止されたことを発表した。インナージェックス社の訴訟問題やパンデミック関連のコスト、サプライチェーンの問題から、このプロジェクトは長期にわたり遅延していた。
ホノルル・スター・アドバタイザーの報道によると、計画されていた15メガワットのプロジェクトは、60メガワット時の蓄電池システムを備え、ハワイアン・エレクトリック社が運営する石油火力発電所よりも低コストで、再生可能なクリーン電源から年間約6900世帯に電力を供給できるはずだった。
パエアフ・プロジェクトは2018年、ワイレアのウルパラクア・ランチから賃借した200エーカーの土地で提案された。州公益事業委員会(PUC)は2020年にこのプロジェクトを承認し、2021年に着工、2022年に完成する予定だった。
パエアフは、マウイ島で過去5年間にPUCによって承認された5つの太陽光・蓄電プロジェクトのうち、現在中止されている4つのプロジェクトの1つだ。なお、現存する1つのプロジェクトは、「AES」社がマウイ島中央部に開発中の240メガワット時の蓄電池を備えた60メガワットの太陽光発電所「クイヘラニ(Kuihelani)」で、2024年に稼働する予定となっている。
ハワイアン・エレクトリック社は、環境規制を満たすために2028年までにカフルイ発電所を閉じなければならず、またマアラエア発電所では発電ユニットの交換部品が入手できないため、2030年以降の稼動が不透明となっていると述べた。
州の他の地域でも太陽光発電所開発のトラブルが発生しており、2045年までに100%のエネルギーを再生可能エネルギーで生産するという州目標の達成に困難が生じている。
オアフ島では、クニアに計画されていた2つの大規模プロジェクトが、コストと開発の遅れのために中止された。ひとつは、ボストンを拠点とする「ロングロード」社が提案した「マヒ・ソーラー」で、容量120メガワット、蓄電容量420メガワットで、オアフ島の電力需要の4%にあたる約3万7000世帯分の電力を供給できるものだった。もうひとつは韓国の「ハンファ・グループ」の米国関連会社「174パワー・グローバル」が提案した「クペハウ・ソーラー」で、規模は半分だった。
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画像:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.12.1)