マウナ・ロア火山が噴火を開始してから3日が過ぎ、溶岩の流れは遅くなり、膨張を見せ始めているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
現在、ハワイ島の平坦な部分に到達している溶岩が、最も往来の激しいダニエル・K・イノウエ・ハイウェイ(別名サドル・ロード)に達するかどうかが大きな問題となっており、関係者は対応に追われている。
当局の発表によると、溶岩がこのままのペースで流れた場合、少なくとも今後2日のうちにサドル・ロードに到達することはないものの、これからペースが落ちたとしても、数日後には達するだろうと予想しているという。
当局は、ハイウェイを閉鎖する可能性を検討して対策の計画を始めたが、限段階では状況がどのように変化するか不明な点があまりにも多く、対応に苦慮している。
サドル・ロードに溶岩が到達して道路が分断された場合、ハワイ島における交通は大きな打撃を受けることになる。
ヒロとコナを結ぶ大動脈となるハイウェイが閉鎖されれば、通勤する人々は海岸線沿いの道の利用を余儀なくされ、通勤時間は現在の1時間余りから2〜3時間となる。
ハワイ火山観測所によると、現在の速度で流れ続けた場合、溶岩はマウナケア・アクセス・ロードの交差点あたりでハイウェイに達すると予想されるという。
そうなった場合、マウナケア山頂にある世界トップクラスの天文台の運営にも支障が出る恐れがある。
溶岩は、当初の時速4,200フィート(1.3キロメートル)から、時速106フィート(32メートル)まで減速しており、ハイウェイまであと3.6マイル(約5.8キロメートル)のところまで迫ってきている。
噴火に伴う地震活動が継続して観測されており、専門家は溶岩の噴出はまだ当面続くだろうと予想している。
火山ガスも噴出しており、「ペレの髪」と呼ばれるガラス繊維(溶岩噴出の際に細かい筋状となり、急激に冷却されてできるもの)がサドル・ロード周辺に降下しているという報告がされている。
ハワイ郡自警団(Hawaii County Civil Defense)では、溶岩の流れを変えることも検討しているが、火山観測所の主任研究員であるケン・ホン博士は、次のように述べている。
「平坦な土地で溶岩の流れの方向を変える試みは困難なものだ。問題は量で、毎秒大型ダンプカー10台分の溶岩が流れている。この量を堰き止めるために流れよりも早く土砂を積み上げるのは、おそらく無理だ」
デービッド・イゲ知事は、州と郡の関係者が溶岩の流れについての対応チーム結成のために協議を開始したと報道陣に話している。
また、29日(火)には、溶岩の流れる様子を見ようとハイウェイの路肩に駐車した人々が原因となる交通事故も起こっている。
ハイウェイでの駐車は1,000ドルの罰金刑となる。
当局は、サドル・ロードの利用者に、十分注意するよう呼びかけている。
シェアする
写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.12.1)