アメリカの辞書・辞典出版社の「メリアム・ウェブスター」が2023年の流行語大賞を「オーセンティック(authentic)」だと発表したとAP通信が伝えている。メリアム・ウェブスターは自社の辞書ウェブサイトでの検索数をもとに、20年にわたり流行語大賞を発表している。
オーセンティックとは、本物の、正真正銘の、真の……といった意味の言葉だ。この単語の検索数は辞書会社のサイトでは日常的に多いが、今年1年を通して新たな高みに達したと、編集長のピーター・ソコロウスキー氏は語っている。「2023年は本物に対する危機が起きた年だった。私たちが実感しているのは、真正性に疑問を抱いたとき、人はその真正性にさらに価値を見出すということだ」。
人工知能が台頭し、イーロン・マスク氏がツイッターを「X」に変えたように、ディープフェイクとポスト・トゥルースの時代が到来している。ソコロウスキー氏は、「学生がこの論文を書いたかどうかを信用できるだろうか? 政治家がこのような発言をしたかどうかを信用できるだろうか? 私たちはもう、目に見えるものを常に信用しているわけではない。自分の目や耳を信じないこともある。私たちは今、信憑性とはパフォーマンスそのものであると認識しつつある」と語った。
なお、2022年の流行語大賞は「ガスライティング(gaslighting)」(※)だった。
(※訳注:相手を操り、最終的には相手とその関係をコントロールするために、繰り返し、そしてしばしば嘘をつく行為)
その他の2023年のトップワードは下記のとおり。
「RIZZ(リズ)」カリスマの略で、ロマンチックな魅力や魅力」を意味するスラング。
「KIBBUTZ(キブツ)」イスラエルの共同農場または入植地。10月7日にハマスの過激派がガザ地区近辺を攻撃した後、検索数が急増した。
「IMPLODE(インプロード:内側に破裂すること)」6月18日、タイタニック号の残骸を探索するための商業探検でタイタン潜水艇が爆発したことで、「内側に破裂する」を意味するこの単語の検索数が急上昇した。
「DEADNAME(デッドネーム)」トランスジェンダーの人が生まれたときに与えられ、移行するときにもう使わない名前のこと。
「DOPPELGANGER(ドッペルゲンガー)」自分にそっくりのもう一人の人格のこと。二重人格、分身、幽霊のような相手。
「CORONATION(コロネーション:戴冠式)」チャールズ3世は5月6日に戴冠式を行なった。
「DEEPFAKE(ディープフェイク)」実際に行われたり言われたりしていないことを、事実えあると誤認させるために、確信犯的に改変・操作された画像や記録。
「DYSTOPIAN(ディストピアン)」ディストピア(暗黒郷)の形容詞。気候の混乱はこの言葉への関心を高めた。
「COVENANT(コヴェナント)」「通常、正式で、厳粛で、拘束力のある合意」を意味するこの単語の検索数は、テネシー州ナッシュビルのコヴェナント・スクールで起きた銃乱射事件の後に急増した。
「INDICT(インディシット:告訴する)」ドナルド・トランプ前大統領は、ニューヨーク、フロリダ、ジョージア、ワシントンD.C.の4つの刑事事件で重罪で起訴された。
シェアする