アメリカの軍隊における最新部隊である宇宙軍(US Space
Force)が22日(火)、ハワイに最初の地域司令室を設置したとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
「アメリカ宇宙軍インド太平洋地域司令室(US Space Forces Indo-Pacific)」と呼ばれることになる。
通常新しい地域司令室は、その地域が緊張に巻き込まれる可能性のある場合に設置されるものだ。
キャンプ・スミスで行われた開設式典ではインド太平洋地域を統括するジョン・アクイリーノ海軍大将が「インド・太平洋地域ではこれまで何も起こっていませんが、ここは我々が管轄する中でも最も挑戦的な戦域であり、宇宙軍が提供する戦力はこれまでにない大きな力となるでしょう」と述べている。
アンソニー・マスタリー准将が新しい宇宙軍インド太平洋地域司令室を統率することになっており、ガーディアンと呼ばれる100人ほどの部隊が駐屯するという。
マスタリー准将はアクイリーノ大将の指揮下に入ることになる。
オアフ島は、太平洋、東アジア、インド、オセアニア、インド洋と北極海を監視する上で、すべてのアメリカ軍事作戦の中枢となる場所であり、広大な範囲で活動するためにアメリカ軍は何十年もの間、宇宙システムに依存してきたという経緯がある。
ハワイにおける宇宙軍は、宇宙基地のシステムとサービスへのアクセスを確保することによって、他のアメリカ軍の活動を支援することになる。
アメリカ軍は、貿易ルートと地下石油資源へのアクセスをめぐって緊張が高まる中で、中国を「高まる脅威」とみなしている。
22日の式典に参加した宇宙軍司令官のチャンス・サルツマン大将は「もし中国との紛争が発生した場合に、アメリカと対抗する宇宙システムと独自の宇宙基地からの支援システムを持つことにより、中国の地上軍の能力はますます高まることになるでしょう。我々はそういう敵と戦うことになるのです」と述べている。
2019年12月に当時のドナルド・トランプ大統領の下で宇宙軍は創設された。
その時、ハワイ選出のアメリカ上院議員ブライアン・シャッツ氏は宇宙軍の創設を「馬鹿げた考え」と一蹴し、「宇宙軍なんて実現しないものの、そんなクレージーな考えしか語ることのできない指導者を持つことは危険なことだ」とツイートしている。
しかし、宇宙軍は党派を超えた支援を受けるようになってきたのが実情だ。
安定した通信とサプライチェーンを維持するために、世界経済にとって衛星通信は必要不可欠のものとなってきており、位置情報(GPS)システムは軍隊にとっても商業利用者にとってもナビゲーションの中心となっている。
各国の軍隊では衛生基地を介しての通信と監視は必須なものとなり、中国、ロシア、インドは独自のシステム開発を数十年にわたって行っている。北朝鮮でもミサイル開発と共に宇宙システムの投資が大きくなっていると言われている。
そのような状況の中でハワイに新設された宇宙軍司令室についてマスタリー准将は次のように語っている。
「私の部隊はこの地域の陸軍と海軍と共同で作業していくことになります。部下たちは世界中どこにいても宇宙システムを運営することができますが、実際にこのシステムを使用して地上で作戦を実行する人々と一緒に作業することで、どのように支援が運用されるのか、より深く理解できるようになるでしょう。この地域をより理解することで、特に必要とされる支援内容を探究し、構築していくことが求められています」
シェアする
写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.11.23)