オアフ島の絶景スポットとしてインスタグラムなどで話題となっていた「ハイク階段」(Haiku Stairs)は、別名「天国への階段」とも呼ばれているが、現在ではホノルル市の管理のもと侵入禁止となっており、ハイキングは違法行為として逮捕者も出ている状況だ。
正規の登り口はフェンスで閉鎖された上に警備員がいるために、近隣住宅地の庭に不法に侵入し、通り抜けて階段に登ろうとする人々が後を絶たず、住宅の前に駐車したり、ゴミを捨てていくなどの問題が起こっていた。
この3922段の階段は、設置から50年以上経っている。第2次世界大戦中に無線電信装置へのアクセスのためにかけられた木製の階段を、1950年代に米国海軍が金属製階段に置き換えた。
昨年ホノルル市議会では、9人の議員が全会一致で階段の撤去に賛成し、リック・ブランジャルディ市長も撤去を支持したものの、そのままの状態が続いていた。
この件について、市関係者が17日、撤去作業の工事入札の告知は来年春に行われる予定だと述べたとホノルル・スター・アドバタイザーが報じている。
当初の予定では今年中に行われることになっていた。
階段は解体され、部分ごとにヘリコプターで運ばれることになる。
しかし、非営利団体「フレンズ・オブ・ハイク・ステアーズ」を中心に、一部の人々は撤去に反対しており、階段は文化的、教育的にも意義があり、利用者から料金を徴収することにより財政面からも貢献できると、プロジェクトの中止を求めて起訴しようとしている。
同団体の代表、ショーン・ペイジャー氏は、昨年から階段の保存について地域社会から支援の声が大きくなっていると述べている。
「階段の意義について啓蒙活動をしており、多くの理解を得ることができ、支援の輪も広がっている」
市は工事費用として130万ドルを見積もっているが、ペイジャー氏は、全ての撤去にはこれでは十分でないとしており、さらに工事前には環境保護のアセスメントを行う必要があるという。
また、もし階段が撤去された場合には、多くのハイカーが登頂のためにモアナルアから別のルートを利用することになり、さらに危険が増す可能性があること、さらに、撤去された階段の跡をつたって登る者も出る可能性もあるとしている。
ハイク階段は、1975年に沿岸警備隊が引き継ぎ、訪問者は記名と免責書類に署名することで一般にも公開されてきたが、1987年に何者かが階段の一部を破損したために安全性の問題から法的に侵入禁止となっている。
以来、ホノルル市は階段の存続のために修理を試みており、2002年には87万ドル以上もかけている。
土地の所有者であるホノルル水道局は、2017年に撤去に際して環境に対してどのような影響が及ぶかという事前調査を開始する一方で、後を絶たない不法侵入者対策として年間25万ドルで警護を依頼しており、2017年から2020年までの間に1万人以上が警備員によって追い返されたという。
2020年には、当時ホノルル市長であったカーク・コールドウェル氏が、階段を保存し一般公開できる方法を模索したものの、その計画は実現しないまま任期は終わった。
その後、この地区選出のエスター・キアアイナ市議によって地域住民の生活を守るための撤去案が提出され、当初は保存の方向を検討していたリック・ブランジャルディ市長も最終的には、撤去という市議会の決議に賛成を表明したという経緯がある。
現在「フレンズ・オブ・ハイク・ステアーズ」では、階段保存のための裁判費用のための募金活動を行っている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.11.21)