道路舗装や岩石採石などを手がけるハワイ最大級のインフラ企業である「グレース・パシフィックLLC」が、ハワイの建設会社「ナン」社(Nan Inc.)に買収されたとホノルル・スター・アドバタイザーが報じている。
ナン社は、ホノルルを拠点とする不動産会社「アレクサンダー&ボールドウィン」社(A&B)からグレース・パシフィックを買収した。A&Bは、以前は大手不動産開発会社だったが、近年はハワイのショッピングセンターの所有と運営に注力している。
A&社は、グレース・パフィックを5750万ドル(約86億円:150円/ドル換算)でナン社に売却し、この売買取引は15日(水)に完了したと報告している。A&Bはまた、6日(月)、グレース・パシフィックが保有していた「マウイ・ペイビングLLC」の50%持分をマウイ島の建設会社「グッドフェロー・ブラザーズ」の関連会社である「GBIホールディングCo.」に250万ドル(約3.7億円)で売却したと発表した。
ナン社が買収したグレース・パシフィックの事業には、マカキロにある200エーカーの岩石採石場、オアフ島のアスファルトおよびコンクリート生産工場、マウイ島の採石場用地、州全体の道路舗装事業が含まれている。
グレース・パシフィックは1931年に設立され、現在約450人の従業員を擁する州最大の舗装請負業者であり、同社によるとハワイの道路のほぼ100%を建設または維持しているという。
A&Bは2013年にグレース・パシフィックを2億3500万ドル(約229億円:2013年当時平均97.6円/ドル換算)で買収したが、近年は財務上の営業損失で苦戦していた。2019年、A&Bはグレースの価値を7800万ドル(約85億円:2019年当時平均109円/ドル換算)切り下げ、2022年には正式に事業売却を試み始めた。A&B社長兼CEOのランス・パーカー氏は、声明にて、「グレース・パシフィックの売却は、A&Bの簡素化戦略の集大成であり、ハワイで卓越した商業不動産会社としての中核事業に焦点を絞ることができる」と述べた。
A&Bはハワイで2番目に大きな商業施設オーナーである。同社が所有する物件には、カイルアの商業中心部の大部分、パール・ハイランド・センター、マノア・マーケットプレイス、ショップス・アット・ククイウラ、クイーンズ・マーケットプレイスなどがある。
ナン社の創業者でありオーナーであるナン・チョル・シン氏は、声明にて、「グレース・パシフィックをナン社のファミリーに迎えることができ、感激している」と述べ、今回の買収により、ナン社はサービス提供を強化することができ、グレースは確立されたブランド、経営陣、スタッフを維持することができると語った。
ナン社は1990年に小さな建設業者として設立され、現在ではハワイ最大の地元資本の建設会社にまで成長した。同社のプロジェクトには、政府庁舎、市営鉄道駅、高速道路改良、下水処理場、ホテル改装、一戸建て住宅などがある。同社はまた、アラモアナセンター近くのツインタワー型コンドミニアム・プロジェクト「ザ・パーク・オン・ケアウモク」の開発も行っている。
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画像:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.11.17)