ホノルル市計画許可局(DPP:Department of Planning and Permitting)では現在6千件の住宅建築許可申請が滞っており、状況の改善に取り組んでいるとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
現在、住宅建築許可を申請してから実際に許可が下りるまでの平均期間は10カ月と言われているが、新しいDPP局長のドーン・アプナ氏は、作業を自動化することにより数週間に短縮することができると述べている。
同氏は、時代遅れのシステムと職員不足を解消する計画をホノルル市議会に提出し、問題は事前審査にあると指摘した。
「事前審査は手作業で行われており、申請がこのプロセスを通過するまでに平均175日ほどかかっている。これを短縮するために、リストから自動的に申請内容をチェックするシステムの導入を考えている。このシステムにより、時間を大幅に短縮することができ、事前審査にかかる期間は1週間以内になるだろうと予想している」
DPPではすでに新しいウェブサイトを立ち上げており、申請のためのやりとりの回数を削減する方法を詳細に説明している。
アプナ氏は、「新しいウェブサイトでは、何が求められているか、システムが何をチェックするかをきちんと説明しており、建築家が住宅の建築計画を作成する際に参考にして申請することができる」と述べている。
しかし、建築業界からは懐疑的な声も上がっている。
基礎工事を請け負う建設会社「ストラクチュアル・ハワイ」のオーナーでエンジニアでもあるジェフリー・クディアマット氏は、「年末年始の休みの後では、待ち時間は6カ月どころではなく、8カ月にはなるだろう」と述べている。
同氏によると、住宅建設許可にはDPPだけでなく複数の部署が関わっているが、それぞれ異なるシステムを使っているという。
「DPPでは、1人の担当者が申請の受理から許可の発行まで全てを受け持つ方が、より効率的だろう。新しいシステムが人間ができることを全てできるのかどうか疑わしい。事前審査では、何か問題があって却下となった場合、再申請のために5カ月待たなければならない。また別の問題があると判断されれば、さらに5カ月待たされる」
問題をいっそう大きくしているのは、職員の不足だ。
DPPでは現在、36のポジションが空いており、新規採用をしようとしているが、採用後のトレーニングに6カ月かかるという。
アプナ局長は、「民間企業との給与の差が大きく、エンジニアの採用は非常に困難な状況だ」とコメントしている。
一部の建築関係者は、建築許可の取得に時間がかかりすぎると、その心配のない無許可の業者の利用が横行するようになるのではと懸念している。これは、有資格の正規事業者に大きな打撃となるだけでなく、安全性が確認されない住宅建設が増え、所有者や地域社会にとっても危険をもたらすことになる。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.11.17)