超党派による1兆ドルのインフラストラクチャー投資法案が両院議会を通過し、11月15日にバイデン大統領が署名をして新法として成立した。
これによりハワイでは少なくとも28億ドルの連邦政府補助金が、道路や橋、水道システム、ブロードバンドのインターネットシステムなどの設備投資に振り分けられるだろうと見られているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
しかし、これらの補助金が建設業界への仕事受注と支払いを通して実際に地元経済に好影響を与えるまでには数年がかかるだろうと言われている。
ハワイ大学経済研究所のエグゼクティブ・ディレクターのカール・ボンハム氏は「今回の新法は、悪い景気から経済を立て直すための一時的な景気回復措置ではありません。過去20年あまりにわたって私たちがしなければならなかった産業や生活の基盤となる社会資本への投資を今やりましょうということなのです」と述べている。
ボンハム氏によると、必要な機材や原材料の購入以外の建設投資金額はおよそ21億ドルから22億ドルになると見られ、今後5年間で年平均4億ドルから5億ドルとなるという。
ちなみにハワイ州政府が社会資本設備として投資しているのは年間13億ドル、ハワイ州全体の建設業界は100億ドル産業で、ハワイ全経済は930億ドルの規模である。
「(これらの数値から見ると)新法によるハワイでの社会資本投資額は巨額というものではありません。しかし、将来的に見て必要なことなのです。社会設備投資は重要で偉大な投資なのです」
ハワイ州ビジネス経済開発および観光局の主任エコノミストであるユージーン・ティアン氏は、この投資の影響は3年から5年後に現れてくるだろうと見ているという。
ハワイ州交通局の副局長であるエド・スニフェン氏は「施行された新法のもとでどのプロジェクトがどの時点で補助金を確保できるのかはまだ不明です」と述べている。
連邦政府によるガイドラインが発表され、それに基づき各郡が申請をすることになるだろうという。
今回の連邦政府による補助金でいくつかのプロジェクトは計画よりも早く始められる可能性もあるが、環境アセスメントや設計、各種許可の取得などにかかる時間を考慮すると資金の確保により即座に開始できるものではないからだ。
地元の建設業界団体のカイル・チョック氏は「ハワイのインフラストラクチャーはアメリカエンジニア協会でD+という低い評価を得ています。今回の社会設備投資でこの状態を向上させ、設備投資を必要としている地域の生活が良くなるようにできると思います。また、2045年までに100%再生可能エネルギーを達成するという州としての目標を支援することにもなるでしょう」と述べている。
28億ドルと言われる補助金の使用計画
- 12億ドル:気候変動による安全性対策として道路の修理や建設
- 3億3,900万ドル:老朽化した橋の修理と建設
- 6億3,740万ドル:公共交通システム。主にバス・システム
- 2億4,600万ドル:空港の滑走路、ゲート、ターミナル、混雑解消のための投資
- 1億ドル:ハワイ州内のブロードバンドインターネットアクセス
- 2億40万ドル:水道水処理、パイプ、貯蔵タンクなど水道システム
- 2,100万ドル:充電施設など電気自動車の普及費用
写真: Shutterstock.com
(日刊サン 2021.11.16)
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