米国疫病予防管理センター(CDC)は先週、新型コロナウィルス感染の影響ではしか(麻疹)の世界的流行が懸念されると発表した。
前年と比較してはしかの発生数は増加していないものの、CDCと世界保健機構(WHO)は共同で、「はしかの撲滅に向けての予防接種の進捗は鈍り、流行のリスクが高まっている」と述べている。
昨年世界で2,200万人以上の乳児がはしかの1回目の予防接種を受けておらず、2回目の予防接種を受けたのはたった70%の子供だという。
これは20年以上の間で最も大きな数字だとフォックス・ニュースが伝えている。
世界の23カ国でパンデミックのためにはしか予防接種を延期したためと見られている。
2020年に26カ国ではしかの大きな流行が確認されている。
CDCの報告によると2021年11月10日の時点で、アメリカ国内で47件のはしか感染が確認されている。
WHOの予防接種担当局長であるケイト・オブライアン氏は「2020年のはしか感染数は減少しましたが、私たちは嵐の前の静けさと見ています。世界的にはしかが流行する兆しがあります。新型コロナウィルスのワクチン接種を各国が早急に進めることは重要ですが、コロナのためにその他の重要な予防接種を遅らせるようなことがあってはなりません。決められた予防接種は決められた通りに行われなければいけないのです。そうでなければコロナが収束してもまた別の病気の感染が起こってしまうからです」と述べている。
はしか(麻疹)は世界で最も感染力の大きな病気の一つだが、予防接種によって完全に予防することができる病気でもある。
過去20年にわたり予防接種が世界的に行われるようになり3,000万人以上の命が救われたと見られている。
麻疹ウィルスに感染した人の鼻腔や咽頭にあるウィルスが、咳やくしゃみなどによる空気感染したり、ウィルスがついた物体に触った手で自分の目口や鼻を触ることで感染が広がっていく。
人間以外の動物は麻疹ウィルスに感染したり、人間にうつしたりすることはないが、もし誰か1人が感染すると、予防接種をしていない周囲の人々の90%が感染するという強さだ。
アメリカでは1963年に予防接種プログラムが開始される以前、毎年300万人から400万人が感染したと言われている。
2000年に効果的な予防接種のおかげでアメリカ国内のはしかは撲滅したと宣言されたが、予防接種を受けていない旅行者が国外からはしかを持ち込むために国内で再び感染が見られるようになっている。
はしかに感染すると、感染から1、2週間後に高熱、咳、鼻水などの症状が出始め、その後3日から5日すると身体中に赤い湿疹が見られる。
写真 : Shutterstock
(日刊サン 2021.11.15)
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