米国立公園局が「ヒキガエルを舐める」ことをやめるよう注意を呼びかけていると米メディアNPRが報じている。
米国では、ほぼ全ての国立公園に、野生動物に近づいたり、触れたり、餌を与えることをしないよう注意を促す立て札などがある。ましてや、見も知らぬ動物を「舐めない」ことは当たり前のはずだった。
しかしながら、国立公園局はこのほど、公園に訪れる人々への注意を促す項目に、「ソノラ砂漠ヒキガエルと舌接触をしないこと」を追加した。
公園局はFacebookで「バナナナメクジや、馴染みのない見た目のキノコ、真夜中に目を輝かせる大きなヒキガエルなど、国立公園で遭遇するほとんどの動植物について、舐めることは控えてください」と呼びかけている。
「コロラド・リバー・ヒキガエル」としても知られる「ソノラ砂漠ヒキガエル」は、体長約18センチで弱い低音の鳴き声を発する。
公園局によると、このヒキガエルの分泌物には5-MeO-DMT と呼ばれる強力な幻覚作用のある毒素が含まれるため、触れたり口に入れたりすると身体に害を及ぼす可能性が高い。
ソノラ砂漠ヒキガエルの分泌物は近年、麻薬として人気が高まっている。ニューメキシコ州の狩猟局によると、分泌物を麻薬に使用する人々が増えたため、ソノラ砂漠ヒキガエルが絶滅の危機に瀕している可能性もあるという。
巷では、ボクシング界のレジェンド、マイク・タイソン氏をはじめ、多くの著名人がこのヒキガエルの分泌物を摂取したことを公表し、その結果について語っている。バイデン大統領の息子のハンター・バイデン氏は、中毒治療の一形態として5-MeO-DMT療法を使用することに言及している。一部の専門家は、その治療効果の可能性について研究を進めている。
現在のところ、5-MeO-DMTは医療用薬として認可されておらず、米麻薬取締局は乱用の可能性が高い「スケジュール1」の薬物と見なしている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.11.7)