野生では絶滅したと考えられていたハワイ固有種の植物が、昨年、ハワイ島の人里離れた森林地帯で再発見された。学名「delissea argutidentata (デリセア・アルグティデンタタ、以下DA)」というその植物が最後に確認されたのは50年以上前だった。
DAが属しているデリセア種は、16種のうち14種が絶滅し、今回発見されたDA含めた2種が絶滅の危機に瀕している。固有種が多いハワイは、世界で最も絶滅危惧種が多い場所の1つとして知られている。
このほど、専門家とボランティアで構成されるグループが、再発見されたDAを元に繁殖させた苗木30株を野生に戻したと、ハワイ・ニュース・ナウが報じた。グループは、米国土天然資源省、非営利団体「スリー・マウンテン・アライアンス」、カメハメハ・スクールからのメンバーで構成されている。
デリセアを再発見したのは、スリー・マウンテン・アライアンスの繁殖フィールド技術者、カリー・バーンズ氏。バーンズ氏は、マウカ・コナの僻地でDAを発見した際、その種子の一部を集め、個体群の写真を撮り、植物学者に鑑定を依頼した。
グループでは現在、DAのハワイ語名を探すため、ハワイの植物の歴史を調べている。DAは非常に背が高く、枝分かれしていないが、その形がCyanea属(hāhā)の植物によく似ていることから、 hāhā kiʻekiʻe (背の高いhāhā) と呼ばれていた可能性があるという。
1970年代から、多くの植物学者がマウカ・コナ周辺でDAを探していた。DAが再発見された2021年から、周囲には一時的にフェンスが設置されている。
再発見されたDAからは、完熟した果実8個が採取され、その一部はリヨン樹木園で保管されている。残りの果実は火山希少植物施設に運ばれ、苗木の繁殖の種として使われた。繁殖に成功した苗木は野生に戻され、自生植物として再び根付き始めている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.11.4)