ホノルル市の新たなアフォーダブルハウス開発事業の一環として、14日、マキキに開設予定の「ペンスメトロ」が着工された。建設費は800万ドル(約9億1,400万円)で総戸数は29。各ユニットに洗濯機・乾燥機が備え付けられ、建物に面した通りからの騒音を防ぐための防音処置も施される。8台分の駐車場があり、うち2台分は住民が有料で利用できるカーシェアリングのスペースになる予定。
「ADWハワイLLC」と連携で開発を担当する「マイクロハウス」のドン・フアン氏は「アフォーダブルハウス・インセンティブとして、2019年に法案(Bill)7、今年5月に法案1がホノルル市議会で可決され、今回の着工に至った。インセンティブには約70~80万ドル(8000~9000万円)の税額控除が含まれている」と述べた。
法案7は、2019年に開始されたアフォーダブルハウス5年計画で提案された最初のプログラムで、開発には10年間の固定資産税免除や下水道施設設置などのインセンティブが提供される。特に今年は、パンデミックにより建材費や建設費が上がったことでインセンティブが大いに役立ったという。
ペンスメトロは年収中央値80%以下の人々を対象に賃貸される予定だが、建設費が上がったことにより、それ以上の年収の人々も賃貸の対象に含まれる可能性がある。ハワイコミュニティ開発局によると、ハワイ州では、1人あたりの年収中央値は7万1,100ドル(813万円)、1世帯4人家族の収入の中央値は10万1,600ドル(1,161万円)。
ペンスメトロには法案7と、続いて可決された法案1も適用される。平均収入中央値の60%を超える世帯対象の賃貸住宅を開発する場合、助成金のインセンティブは居住空間1平方フィート(0.093平方メートル)あたり11.25ドル(1,286円)で、9,000ドル(103万円)を超えることはない。平均収入中央値の60%未満の世帯対象の賃貸住宅の場合、インセンティブは居住空間1平方フィートあたり15ドル(1,714円)で、1万5,000ドル(171万円)を超えることはない。法案1に基づく開発プロジェクトには助成金1,000万ドルが割り当てられ、法案7も含め、竣工後15年間はアフォーダブルハウスとして賃貸する必要がある。
KAIハワイエンジニアリングCEOのライアン・タナカ氏は、より多くのアフォーダブルハウス建設のためホノルル市と協力しているが、特に法案7、1への参加について市計画許可局(D P P)に申請可能なプロジェクト数の増加を目指している。現在、ペンスメトロに加え、他1件のプロジェクトでアフォーダブルハウスが建設されている。また、現在DPPに申請中のプロジェクトは14件あり、さらに少なくとも9件のプロジェクトが申請を提出する見込み。
写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2021.10.15)
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