建設中のホノルル高速鉄道は、現時点でおよそ35億ドルの赤字を抱えている。
建設管理をしているホノルル高速輸送局(HART)では、ホノルル市議会が現在審議している新しい宿泊税(宿泊施設に宿泊する人から市が徴収する税)の一部を鉄道建設予算として確保してもらい、赤字を補填してもらいたいという要望を市当局に出している。
一部のHART関係者は、それ以外に外部からの資金調達の道はないものの市からの補填が可能だとは考えていないとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
今月14日、公認会計士で税務不正監査の資格を持っているHART取締役ナタリー・イワサ氏は、現在市議会で審議されている3%の宿泊税をホノルル鉄道の赤字補填として利用できると考える理由について疑問を投げかけた。
「ホノルル鉄道を建設するかどうかに関して市民投票が行われたときに、市民の皆さんに対して、鉄道建設に関して資金不足による追加負担(市民が追加で負担する税)はないと説明しているのです。40年前に話し合っているのでない限り、今回の宿泊者税からホノルル鉄道への資金調達が可能だとは思えません」
これに対して、HARTの最高執行責任者(COO)であるリック・キーン氏は「その通りです。取締役の皆さんもわかっています。赤字補填のために新税の一部を利用することができるかどうかを私たちは議論していません。しかし、私たちはホノルル市以外のどこからも赤字補填のための資金調達はできないのです。新税から調達できなかったら35億ドルの追加資金をどこからも手に入れることができません。問題はそこではないのです。赤字をどうやって解消するか私たちはこの6カ月ずっと議論してきました」と回答している。
現在市議会で審議されている法案は、州が徴収している10.25%の訪問者税に追加の形でさらに市が宿泊税として3%のTAT(transient accommodations tax)を課すというものだ。
法案では、徴収される税の使用目的を限定しているものの、それぞれの配分金額については明確にしていない。
市の一般会計に入れられる新税は「公共施設や交通機関における観光の影響緩和を目的」として使用するようになっている。
HARTでは11月1日までに外部コンサルタントから財政状況の報告書案を受け取ることになっており、これは連邦政府からの補助金を受け取るために連邦公共交通局(FTA)に提出することになっている新しい財政計画の一部となる。
FTAは、ホノルル市議会による新税の法案についての結論をその財政計画に入れるよう求めている。
最終的なHARTの財政報告書は来年3月か4月に出来上がることになっている。
カポレイ東部からアラモアナ・センターまでの全長20.2マイル(およそ32キロ)21駅のホノルル鉄道は当初の予算を大きく上回る124億9,900万ドルという建設予算で完成予定も遅延し続け、現在2031年3月をめどに建設が行われている。
最終目的地であるアラモアナ・センターまで後4マイル(およそ6.5キロ)という地点まで建設が終了しているが、一部の政府関係者や元HART取締役からはダウンタウンのどこかで建設を終えるべきだという声も上がっている。
写真:Dave Pedregon / Shutterstock.com
(日刊サン 2021.10.15)
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