マウイ警察の腐敗を現役警官が告発
沈黙を破り、現役警察官がマウイ警察内で起こっている腐敗や職権濫用について告白をしたことをハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
同僚警官によってパトロールの警官が誘拐されたという内容も含まれている。
マウイ警察では現在次期警察署長が選出されることになっており、告発者は自分の告発が誰が署長に選ばれるべきかという判断材料になることを希望しているという。
告発者はアメリカ陸軍に在籍したことのあるクリストファー・シュミット巡査部長で、マウイ警察に25年勤務しているベテランだ。
「今回の告発で、私には得することも損することもありません。私はいつでもリタイアできるのです。しかし私が警察バッジを返還し、新しい署長が選ばれる前に、警察内でどのようなことが起こっているのかを地域住民に知ってもらいたいと思いました」
シュミット巡査部長によると、ことの発端は昨年11月7日、クィーン・カアフマヌ・センターというショッピングモールの駐車場で当時警察署長だったチボリ・ファアウム氏が運転していた車を駐車スペースから後進させたときに、駐車されていたオートバイにぶつかってそのまま逃走したことだという。
その逃走シーンの全ては防犯カメラに写っており、そのビデオがメディアに投稿されたことで、誰がビデオを投稿したのかという犯人探しが警察官によって開始された。
警察内でもエリートで、署長直轄の犯罪捜査班(CIU)による捜査の結果、署長の事故現場に臨場し、署長に事情聴取を行ったパトロールの警官が疑われたという。
そのパトロール警官に対して、メディアへ漏洩された署長の起こした事故のビデオについて彼らは執拗に追及した。
シュミット巡査部長によると「何度も何度もビデオについて質問をするだけでなく、家族にも影響があるかのように『お前にも家族がいるだろう?』とか『これからもマウイで警官としてやっていきたいんだろう?』と言った」という。
そのパトロール警官は解放されてから、CIUによる自身への取り調べを誘拐として警察に通報したため、その捜査を担当したのが今回告発しているシュミット巡査部長だった。
「彼は本当に自分が(警察官によって)誘拐されたと思っていました。本当にそう信じていたのです」
しかし、1年後の今になっても誰も起訴されておらず、捜査にあたったシュミット巡査部長はこの件について上司に尋ねたときに、上司から敵意と報復にあったという。
「(パトロール警官が軟禁されて詰問された件は)結局、誘拐ではなかったというだけでなく、不法監禁でもなかったというのです。私が食い下がり『ハラスメントでもないんですか?」と尋ねたら、上司は『いいや、それには当たらない』と言って怒り出しました。緊張が高まって、上司が怒りを爆発させたのです。上司は私を罵倒し、悪意のある言葉を投げつけました。とうとう私は耐えられなくなって、怒鳴り返しました。そうすると上司は私に対して『自宅謹慎だ』と言いました。言われた通りにすると、『公式休暇ではないが欠勤でもない』という扱いになり、1,500ドルが支払われました」
シュミット巡査部長は「お金の問題ではなく、名誉の問題だ」という。
「この件を公にすることは私の義務です。そうすれば正当な捜査が行われるでしょう」
マウイ警察は「これらの件については捜査中のため、現時点で詳細は申し上げられません」と声明を発表している。
シュミット巡査部長は、これらの腐敗を終わらせるためには新しい警察署長が外部から選ぶべきだとしている。
新署長の選出は最終段階にあり、10月1日に5人の候補者の最終面接が行われる予定となっている。
写真: Shutterstock.com
(日刊サン 2021.09.30)
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