住宅ローンの金利が上がっていることで、州内の不動産マーケットが微妙な動きを見せているとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
金利がこれ以上高くなる前に購入を考える買い手がいる一方、売り手側も希望価格を再考しているという。
連邦準備銀行がインフレ抑制のために基準となる短期金利を0.75ポイント引き上げるという動きにより、不動産マーケットにさらに不安が広がっている。
コールドウェル・バンカー不動産のマリア・ギブソン・バンドマン氏は、「顧客がこの金利のうちに購入しようと焦りを感じていることは確かだ」と述べている。
今年1月におよそ4%だった住宅ローンの金利は、現在6%ほどまでに上昇している。つまり、毎月の支払い額が増加しているということだ。
「50万ドルの住宅を購入するとして、昨年の金利であれば月の支払いは2,500ドルだったのに、今ではそれが3,000ドルになっている」とバンドマン氏。
一方、売り手側には希望価格を下げる動きが広がっている。
オアフ不動産の主任ブローカーであるブライアン・カウフマン氏は、次のように語っている。
「買い手からのオファーがすぐにない場合には、売り手が希望価格を下げる動きが広がっている。住宅ローンの金利上昇が理由で、今より上がれば、売るのがさらに難しくなるからだ」
不動産のウェブサイトを見ると、希望価格を下げているのは、今年2月には234件だったのが、8月にはおよそ600件になっている。
また、5月には535件の住宅が希望価格以上で購入されているが、8月には303件となっており、1物件に対するオファーの数も減少している。
ホノルル不動産協会のチャド・タケスエ会長は、「昨年なら15件のオファーがあったであろう物件に今では5件ほどしかない」と話した。
8月の不動産販売数は、1年前と比較して25%も下落している。
もっとも、2021年は一戸建て住宅とコンドミアムの販売数が前年比37%アップという記録的な年でもあった。
それについてバンドマン氏は、「全てを昨年の数値と比較しているが、昨年が異常だったことを忘れてはならない。現状が通常の動きと見るのが正しい。住宅ローンの金利は、これまでも6%前後だった」とコメントしている。
今後の動きについてタケスエ氏は、インフレの状況次第だとしている。
「連邦準備銀行がインフレ率を抑えこまなければ、債券の利回りパフォーマンスが下がり続け、金利はさらに上がっていくだろう」
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.9.22)