【世界のこぼれ話】クマ観察カメラのおかげで遭難したハイカー発見 アラスカ州
先週、アラスカの国立公園で野生のクマを観察するライブストリーミングを見ていた視聴者が、遭難したハイカーを発見したことで、救助につながったとBBCニュースが伝えている。
ライブストリームを主催するExplore.orgによると、5日(火)15時15分ごろ、熱心なクマ観察カメラ(通称ベア・カム)のファンたちが、カトマイ国立公園からのライブストリームを見ていたところ、目にしたのはクマではなく道に迷ったハイカーだったという。
ハイカーの男性はレインコートを着ており、カメラに向かって何かを訴えかけていた。
このクマ観察カメラは音声の再生機能はないが、ハイカーの口の動きは「助けて」と言っているようだったという。
カトマイ国立公園はアメリカでも最も人里離れた場所にあり、飛行機かボートでしか行くことができない。また、このハイカーがいたダンプリング・マウンテンでは、携帯電話は通じない。
視聴者はExplore.orgのスタッフと連絡を取り、国立公園局と連絡を取ることができた。クマ観察カメラのページの司会者は、視聴者たちに、
「ご報告ありがとう。Exploreはカトマイと連絡を取っている。彼らも映像を見直しているところだ」と語りかけた。
その後、カトマイ国立公園のパークレンジャーは、18時48分にハイカーを発見し、救助することができた。
国立公園局の広報担当者であるシンシア・ヘルナンデス氏は、BBCに対し、「公園は捜索救助隊を派遣し、風雨が強く視界の悪い状況でハイカーを発見した」と述べた。
なお、ハイカーにけがはなかったという。
アラスカのベア・カムの視聴者は、今年は10月初旬に開催されるファット・ベア・ウィークを前に急増することが予想されている。
ファット・ベア・ウィークとは、カトマイ国立公園が主催する人気のオンライン・コンテストで、冬眠前にサケを食べて太ったクマの中から最も太ったクマに投票するというもの。公園内には7台のカメラが設置されており、クマ観察の人気スポットとなっている。
しかし、ハイカーが遭難していた時には高山ツンドラのダンプリング・マウンテン周辺は霧に包まれており、絵のような美しい景色とは程遠いにもかかわらず視聴者がいたのは、ハイカーにとってラッキーだったと言うほかないだろう。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.9.13)