専門家たちは、マウイ島での大規模な火災と、それに続く再開発がマウイ島の高級化を加速させ、特に州の最貧困層の多くを含むハワイ先住民の州外への移住を加速させるのではないかと危惧している。
ホノルル・スター・アドバタイザーの報道によると、被災者や社会福祉の専門家、経済学者へのインタビューや政府関係者の発言から、多くの避難者がすでに米国本土に移ったか、移住を検討していることがわかったという。長い間、全米で最も生活コストの高いハワイに比べ、物価の安い本土の暮らしは多くのハワイ住民を魅了してきた。最も深刻な被害を受けたラハイナでは、全人口の12%が貧困層以下の暮らしをしており、住民の10人に1人がハワイ先住民やその他の太平洋諸島出身者だったという。
一方、マウイ島の主要産業である観光業が、火災前の数分の一の水準にまで回復することを期待しながら、決断を保留する人々もいる。州政府のデータによると、マウイ島はハワイを訪れる観光客の31%を占め、観光産業従事者のほぼ5分の1がハワイ先住民となっている。マウイ島経済開発委員会によると、観光業はマウイ郡で生み出される全収入の約70%を占めている。
リッツ・カールトンの元従業員で、現在はカアナパリのハイアット・レジデンス・クラブに仮住まいしている被災者のタチアナ・カメラメラ=リウアさんは、観光業が戻ってこないこと、そして火災で何千もの家が失われた後、手ごろな値段で住める場所が見つからないことを恐れている一人だ。彼女はハワイ先住民と太平洋諸島出身者の血を引いている。災害前、ラハイナの2ベッドルームのアパートの毎月の家賃の中央価格は1621ドルだった。タチアナさんは、自分が生まれ育ち、家族がいるオアフ島への移住も検討しているが、そこも家賃は高い。ラスベガスのあるネバダ州クラーク郡では、2ベッドルームの家賃の中央価格は約1166ドルで、州所得税もない。
ラスベガスは、ハワイ先住民をはじめとする元ハワイ住民が多く居住しており、「第九の島」とも呼ばれている。生活コストが安いことに加え、ハワイと同じく観光都市であり、ホテルなどの施設も豊富なことから、ハワイで観光業に従事してきた人たちが職を探しやすいというメリットもある。
国勢調査によると、ハワイ先住民の血を引く全米68万人のうち、ハワイに住んでいるのは半数以下しかいない。ネイティブ・ハワイアン推進協議会は、今年、ラスベガスで初の地域大会を開催している。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.9.6)