長らく立ち入り禁止となりながらも、世界中のハイカーを魅了し続けてきたハイク・ステアーズ(通称「天国への階段」)が、ついに撤去されることになる。
ホノルル・スター・アドバタイザーの報道によると、ホノルル市設計建設局は、29日(火)、ナコア・カンパニーズ社に階段の撤去工事を発注し、約258万ドルが解体プロジェクトに充てられることになったと発表した。ナコア・カンパニーズ社は「複雑なインフラ・プロジェクト」を専門としており、ハイク・ステアーズとモアナルア・サドル・ステアーズの撤去に取り組む。なお、撤去の契約には基本金額と臨時費用が含まれている。
市設計建設局のハク・ミレス局長は声明にて、「ハイク・ステアーズの撤去プロジェクトにナコア・カンパニーズが選ばれたことは、公共の安全性を高め、自然資源を保護するための我々の継続的な努力の大きなマイルストーンとなる。我々は、同社の専門知識と卓越性へのコミットメントが、プロジェクトを成功させ、うまく実行させることを確信している」と述べている。
市のニュースリリースによると、このプロジェクトには、「老朽化した狭い金属製階段構造の撤去が含まれ、同時に関連する構造物の保全も確保される」という。また、生物学者が「在来種を保護し、浸食を防ぐために、撤去前と撤去後に階段の各セクションを評価し、必要に応じて在来種の植物を再植栽することを含む」と付け加えられている。
「天国への階段」の撤去は、何年にもわたって論争の的となってきた。階段の保存を目指す非営利団体「フレンズ・オブ・ハイク・ステアーズ(FHS)」は、撤去を阻止するために市を相手取って訴訟を起こした。訴訟では、階段は「象徴的で歴史的な記念碑」であり、絶滅危惧種のために連邦政府が保護する重要生息地にあるが、取り壊しプロジェクトがこの地域に与える損害の可能性について十分な評価がなされていないと主張している。
リック・ブランジャルディ・ホノルル市長は、階段撤去に賛成している。近隣の住民からは、ハイカーによる騒音や私有地への不法侵入、渋滞ついて苦情が寄せられており、廃墟と化した階段とハイキングの性質が、何十件もの救助出動につながっているという。
ブランジャルディ市長は、声明にて、「階段の撤去は、いくつかの要因に基づいて決定された。まず何といっても公共の安全のためだ。ハイカーにとっても、特に階段へのアクセスを求める人たちの不法侵入や嫌がらせ、器物破損に何十年も耐えてきた周辺の住宅地にとってもだ」と述べた。
また、FHSが提案している階段を温存しながらアクセスを管理する計画についても触れ、「第二に、私たちはFHSが提案するアクセス管理計画が、実現可能で費用対効果が高く、違法アクセスの解決策になるとは考えていない。第三に、私たちの救助隊は過去15年間に57回以上の危険な救助活動を経験しており、隊員を危険にさらす回数があまりにも多すぎる」と説明した。
ハイク・ステアーズは、1942年にアメリカ海軍によって最初に建設された。
階段の管理は、米沿岸警備隊、水道局、そして市へと移管されてきた。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.8.30)