オランダのビール会社「ハイネケン」は、モスクワがウクライナへの全面侵攻を開始してから1年半後にあたる25日(金)、ロシアからの撤退を完了し、ロシアでの事業をわずか1ユーロで売却したと発表した。
AP通信によると、ハイネケンは、ロシア事業を、ロシアの製造大手「アーネスト・グループ」に売却。これにより、総額3億ユーロ(約475億円)の損失が発生すると発表した。ハイネケンは、戦争勃発をきっかけとする撤退ペースの遅さに対する批判に直面していたが、ロシアの現地従業員のサポートをしていると主張していた。
昨年3月、ハイネケンはロシアでの事業が「現在の環境ではもはや持続可能でも実行可能でもない」として撤退すると発表したが、新たなオーナーへの「秩序ある譲渡」を確実にしたいと付け加えた。
ハイネケンのCEOであるドルフ・ファン・デン・ブリンク氏は声明の中で、「期待していたよりもはるかに時間がかかったが、この取引によって従業員の生活が保障され、責任ある方法でこの国から撤退することができる」と述べた。
今回の売却は、7つの醸造所を含むロシアにおけるハイネケンの全資産を対象としている。同社によると、アーネスト社はハイネケンの現地スタッフ1800人の雇用を3年間保証するという。
ハイネケンブランドのビールは昨年ロシア市場から撤去された。他のハイネケン傘下の主要ブランドの1つである「アムステル」も6カ月以内に段階的に撤去される予定となっている。
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写真:Shutterstock
(日刊サン 2023.8.28)