8日(火)のラハイナでの大火災の直後、被災者は物理的にも技術的にも孤立していたが、23日(水)、非営利団体「レッド・ライトニング」がWi-Fi設置を行ったことで、インターネットにアクセスできるようになったとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
2010年に結成されたレッド・ライトニングは、ハイチ、フィリピン、2011年の津波と原発事故後の日本、バヌアツ、ネパール、米領ヴァージン諸島、2018年のキラウエア噴火後のハワイ島パホアなど、自然災害で壊滅的な被害を受けた地域に支援を提供してきた。しかし、現在西マウイ周辺で行っているようなWi-Fiサービスの復旧をサポートするのは、今回が始めてだという。
被災地では有線システムから切り離されているため、スペースX社によるスターリンクの受信機を用いている。スターリンクでは、地球近傍軌道に送られた衛星を利用してインターネットアクセスが提供される。
アンテナは電力を必要とするため、ハワイの太陽光発電会社「サンラン」(Sunrun)はレッド・ライトニングと協力し、スターリンクの技術を駆動するだけでなく、9日(水)の朝からポハクビーチのような配信ハブでノンストップで稼働しているガス発電機の代わりとして、屋上にソーラーパネルを設置した。ソーラーパネルにより、発電機の騒音はなくなり、常に燃料を補給する必要もなくなった。
ポハク公園での23日(水)の設置を監督したサンラン・ハワイのジェネラルマネージャーであるブレイク・ブリデル氏は、スターリンクのアンテナからの信号は、20枚の400ワットパネルからのクリーンな太陽エネルギーに依存していると語った。
ポハク公園に設置されている強力なユニットでは、100フィート(約30メートル)以内であれば50台まで利用できるが、ストリーミングやゲーム、ビデオ通話などを使用すると回線に負荷がかかるため、基本的にはテキストメッセージやEメールの利用のみに限定される。また、連邦緊急事態管理庁(FEMAの)の援助のオンライン申請も可能となっている。
スターリンクの受信機はポハク公園のほか、ショッピングセンターや企業などさまざまな場所に設置されており、現在さらに50台が追加注文されている。スターリンクデータの月額使用料は200ドルから250ドルで、レッド・ライトニングはラハイナ災害の最初の2カ月をカバーする。同団体は、被災後3カ月ごろには従来の携帯電話サービスとWi-Fiアクセスが戻り始めると予想しているが、その後も有料でスターリンクのサービス継続を希望する人にはユニットが支給される予定となっている。
シェアする
写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.8.24)