ホノルル市議会は、歴史的文化遺産の保護を強化するために「歴史的遺産保護委員会」の活動を検討しているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
「歴史的遺産保護委員会」は過去29年間、活動が行われていなかったという。
ホノルル市議会は1993年に歴史的遺産保護委員会の立ち上げを承認したものの、職員がおらず、委員長のポジションにも誰も任命されていなかった。
ホノルル市には遺産保護の活動を専門にする委員会がなかったために市の計画許可局と州の歴史保護課がその役目を担っており、新しい開発がハワイ先住民族の神聖な場所あるいは遺骨がある場所を破壊するようなものでないかどうかを監視してきた。
しかし、計画許可局は市の行政機関で、歴史的遺産保存課は州の行政機関であることから、緊密な連携を取るのが困難な場合もあった。
ホノルル市議会の議長であるトミー・ウォルター議員によると、市議会で両者が互いに責任を押し付け合うような場面が見られたという。
「歴史的遺産を守りたいと思っていますが、現状のままでは状況はどんどん悪化していってしまいます」
2021年に市の計画許可局がニウ・バレーにある住宅の取り壊しを承認したが、そこは聖地としてみなされている場所だったことが後から判明したが、すでに石の壁は取り壊されていたという事例がある。
2018年には、アイナ・ハイナの丘斜面の工事現場で遺骨が発見された。
本来なら建設工事が許可されるべきでない場所で、州の歴史的遺産保存課が建設許可を出さないよう市の計画許可局へ要請していたが手違いで許可が承認されてしまったという。
そこで今回、ウォルター議員とエスター・キアアイナ議員は共同で法案44号を提出した。
この法案は、歴史保存委員会の用件の一部を修正し、委員会が史跡の公的登録を維持することや史跡でのプロジェクトの影響を最小限に抑える方法について州歴史的遺産保存課へ勧告をすることなどが盛り込まれている。
また、歴史的遺産の調査や記録の維持のために職員を確保するように市へ要望している。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.8.22)