歴史や各分野の研究家や博物館スタッフ、学芸員は、どのようにして文化財を扱い、その歴史背景を紐解いていくのだろうか? まるで「ウサギの穴に落ちていくような」歴史と文化の迷路に迷い込み、謎を解明していくそのプロセスを、新しいデジタル・プロジェクトのおかげで一般市民でも体験できるようになったとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ビショップ博物館が新たに取り入れたこのデジタル・プロジェクトは、「マウ・カ・レオ(Mau ka Leo:集合的な声)」と呼ばており、デジタル・フューチャー・イニシアチブと呼ばれる同博物館の大規模な技術アップグレードの中で最も目に見える部分であり、博物館の膨大な収蔵品を最終的にオンラインで簡単にアクセスできるようにすることを目的としている。
このデジタル技術により、一度に展示できるものをはるかに超える規模の収蔵品を公開するこが可能となる。同博物館のコレクションには、考古学的遺物、写真、美術品、録音、書籍、原稿など約300万点の文化財と、ハワイと太平洋で収集された2200万点の生物標本が含まれている。
ビショップ博物館の情報学部長として、このプロジェクトの技術面を監督するメリッサ・トゥリグ氏は、「一般の人が博物館に来たとしても、見ることができるのはコレクションの1%にも満たない。では、2500万点もの収蔵品があることを、どのように周知させればよいのか」と語る。
マウ・カ・レオは、同博物館で「デジタル・ストーリーテリング・スペース」と呼ばるとおり、様々なページを通して、テーマごとにまとめられた写真と簡単なストーリーが表示される。歴史的な人物、場所、出来事、王族の羽飾りや道具などの文化財、カパ(パウの騎手が着る乗馬服)などの伝統的な服装など、さまざまなテーマで約100のエントリーが掲載されており、少なくとも月に一度は新しい作品が追加される予定だという。
ここでは、博物館の展示にありがちな日付や名前といった無味乾燥な説明をあえて避け、コレクションにカジュアルな、ほとんど「トーク・ストーリー」のような質感をもたらしている。マウ・カ・レオにどのような品物を展示するかという基準や枠組みはなく、博物館がその品物について画像や良い物語を持っているということ以外にはない。同博物館の歴史家であるデソト・ブラウン氏は、「モノクロの写真は古すぎるという理由で、反応しない人もいる。だから、カラーを混ぜることができれば、なお良い」と語る。
マウ・カ・レオの閲覧はこちら。
https://www.bishopmuseum.org/maukaleo/
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