16歳少年射殺事件 警官3人に対する公訴棄却
今年4月5日(月曜日)午後4時30分ごろ、その前週の土曜日にカイルアで起こった武装強盗・家宅侵入事件で強奪された白いホンダ・シビックが走っているのを警察官が発見した。
その車は、その後、ワイキキで起こった財布ひったくり事件、モイリイリで起こった別の武装強盗事件にも関与していることが判明しており、警察官はすぐに追跡を開始し、カラニアナオレ・ハイウェイからH1ハイウェイ、そしてカピオラニ・ブルバードへと追跡は続き、信号無視や反対車線走行などを繰り返して警察車両2台にぶつかったのち、金網フェンスを突き破りカピオラニ運河へ落ちた。
車から6人が逃走しようとして警察に抵抗したために警察官3人が発砲して、容疑者の1人イレマンバー・サイカップ(16歳)が撃たれて病院に搬送されたが死亡するという事件が起こった。
6人の容疑者のうち、サイカップを含め4人は18歳未満だった。
16歳少年が警察官の発砲により死亡したこの事件について、6月9日には大陪審は発砲した警察官3人に対する公訴を棄却していたが、ホノルル検察官スティーブン・アルム氏は警察官3人を殺人罪と殺人未遂罪で起訴していた。
警察官3人が被告となり予備審問が行われていたが、6日目となった8月18日(水曜日)にウィリアム・ドミンゴ裁判官は、検察官の主張には無理があるとして、公訴を棄却したとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
これによる警察官3人は今回の刑事訴訟において無罪放免となった。
ドミンゴ裁判官は、「警察はサイカップとその他5人に対して、再三にわたり車を停止するように求めており、銃を手に住宅に押し入り銃口を向けて強盗事件を2件起こしていることから容疑者たちが銃を持っていることを知っていた。そしてその6人が夕方のラッシュアワーのマッカリー地区へ逃走し、中央分離帯を乗り越え反対車線を走行するなど危険な行為を繰り返して、抵抗したのは、警察官にも周囲にいた一般人にとっても非常に危険な状態だった」としている。
今回の公訴棄却を受けて、ホノルル警察署長代理であるレイド・ヴェイニック氏は「今回の決定を嬉しく思っています。この事件は、当事者の警察官3人にとっても、警察署にとっても非常に困難なものでしたが、我々はプロとしての誇りを持って任務に当たっています。皆さんのサポートに感謝しています」と述べている。
検察官側は残念な結果として、この件についてアルム検察官が8月23日に会見を予定している。
サイカップの体内からは覚醒剤クリスタル・メタンフェタミンが検出されており、車の中から吸引パイプとともに銃と実弾が見つかっていた。
写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2021.08.19)
シェアする