マウイ島ラハイナを襲った大火災から1週間以上が経過し、現場では引き続き行方不明者の捜索が続けられるとともに、徐々に復興作業へと移行している。この復興のプロセスには、燃え盛る炎から逃れることができなかった人々の遺体を探すことも含まれている。そこで活躍するのが遺体捜索犬であるとKHON2は伝えている。
遺体捜索犬は、最も困難な状況下でも遺体の所在を突き止めることができる、専門的な訓練を受けた犬である。2001年9月11日にニューヨークのツインタワーを襲った9.11の大惨事の後、遺体捜索犬は瓦礫から遺体を回収する限られた方法のひとつだった。近年、遺体捜索犬の活躍は目覚ましく、軍事作戦にも投入されている。
11日(金)、ネバダ・タスクフォースのFEMA捜索救助チームが、2頭の遺体捜索犬とともに到着した。ハワイ州兵によると、マウイ島には現在40頭の遺体捜索犬が配備され、遺体の回収を支援しているという。
KHON2は、遺体捜索犬についてナショナル・ケンネル・クラブに取材を行い、その特徴について下記5つにまとめている。
1. 遺体捜索犬の歴史
発端はベトナム戦争時に遡る。1970年代、サンアントニオのサウスウエスト研究所の軍事動物科学プログラムと協力して、ブラッドハウンドのハンドラーであったニューヨーク州警察官のラルフ・サフォーク・ジュニア氏が遺体回収のような状況で犬の感覚がどれほど利用できるかを解明。最初の遺体捜索犬は、イエロー・ラブラドール・レトリバーで、サフォークによって訓練された。
2. 証拠の断片
遺体捜索犬の驚くべき能力は、証拠の大きさは問題ではないということだ。警察犬には何十億もの嗅覚受容体があり、ごくわずかな匂いも識別することができるため、証拠の断片を見つけることができる。
3. 止められない意欲
優れた遺体捜索犬たちは、押しが強く、攻撃的で、止むことのない衝動を持っているという。このような特性は「しつけができていない」ことと似ているが、遺体捜索においては、こうした犬たちはしばしば恐れを知らず、どんな状況でも嗅ぎつける準備をして臨むため、良い結果をもたらすという。
4. 化学的トレーニング
遺体捜索犬は、腐敗の過程で生成されるカダベリンとプトレシンという化学物質によって、遺体の場所を特定することができる。コンクリートブロックの中であろうと、瓦礫や灰の山であろうと、訓練によって犬はこれらの化学物質の臭いを正確に嗅ぎ分けることができる。
5. 犬であることに変わりはない
その能力にかかわらず、遺体捜索犬には愛情、励まし、肯定的な補強が必要だ。生きとし生けるものはみな、つながりを切望している。
捜索救助のために犬を訓練することが人道的かどうかについては、多くの論争がある。しかし遺体捜索犬は不可能を可能にし、遺族に安らぎを与えていることもまた、事実である。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.8.17)