ハワイ島とマウイ島で発生した複数の火災は、8日(火)にハワイ諸島の南を通過したハリケーン・ドラによって発生した強風によって瞬く間に広がり、大規模な災害へと発展した。中でもマウイ島の被害は甚大で、少なくとも36人が死亡、30人近くが負傷、少なくとも271棟の建物が損壊した。なお、死亡者および負傷者の数は今後増える可能性がある。
ホノルル・スター・アドバタイザーをはじめとするハワイの各報道機関は、火災による壊滅的な被害を受けたマウイ島ラハイナの状況を伝えている。
ハワイ王国の旧都であり、かつて捕鯨で栄えた港町であり、現在は多くの旅行者が訪れるラハイナは、見るも無惨な姿に変貌した。フロント・ストリートの大部分、200年の歴史を持つワイオラ教会、マリア・ラナキラ・カトリック教会、パイオニア・イン、オールド・ラハイナ裁判所、ボールドウィン・ホーム・ミュージアムなどの貴重な建造物が被害を受けた。町のシンボルであるバニヤンツリーはかろうじて立っているものの、大きく損傷している。火災が広がる中、火の手から逃げるためラハイナ・ハーバーから海へ飛び込み避難する人もあり、沿岸警備隊は2件の海難救助を行なったと発表した。
州交通局(DOT)のエド・スニフェン局長によると、旅行者には避難勧告が出され、9日(水)に約1万1000人がマウイ島を離れた。10日(木)には少なくとも1500人がマウイ島を離れる予定だという。オアフ島のハワイ・コンベンション・センターは、何千人もの避難民を受け入れるための準備が進められた。
ハワイ大学マノア校の生態系と火災の専門家であるクレイ・トラウアニット氏は、マウイ島の火災は、空中投水に頼ることが多くなった島の消火活動の新時代を象徴しているという。8日(火)早朝に火災が発生したときは、強風のためヘリコプターが出動できなかった。同氏は、「このような経験はこれまで一度もなかった。通常、消防士は山火事と人里の間に入ることができる。いま、長年心配してきた問題に対して、最悪の結果を目の当たりにしている」と語る。
マウイ郡は9日(水)の時点で13件の避難命令を発し、16の道路を閉鎖し、5つの避難所を開設した。マウイ郡のリチャード・ビッセン・ジュニア市長によると、ホテルや避難所も停電が続いているという。
ホワイトハウスが発表した声明の中でバイデン大統領は、「ジルと私は、マウイ島の山火事で愛する人を亡くされた方々のご家族に深い哀悼の意を表し、家屋や職場、コミュニティが破壊された方々のために祈りを捧げる。人命救助のために危険を顧みず、危険に向かって走り続ける勇敢な消防士や救急隊員に感謝する」と述べた。
バラク・オバマ前大統領はソーシャルメディアの投稿で、「私たちの多くにとって特別な場所であるハワイから発信される映像のいくつかを見るのはつらい。ミシェルと私は、愛する人を亡くした人、人生を大きく変えられてしまった人のことを思っている」とコメントした。
現在、多くの団体が今回の大規模火災のための寄付活動を行っている。ハワイ・コミュニティ財団は、マウイ島に迅速にリソースを投入し、避難所、食料、財政支援、その他のサービスを含む救援・復興活動を支援するために、「マウイ・ストロング基金」を立ち上げた。
マウイ・ストロング基金への寄付はこちら。
https://www.hawaiicommunityfoundation.org/maui-strong
シェアする
写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.8.10)