米連邦航空局(FAA)は、ハワイの航空ツアー会社が低空飛行で悪天候に突入するのを防ぐことを目的とした新しい手順を提案している。この提案は、長年にわたる一連の死亡事故と、国家運輸安全委員会(NTSB)および一般市民からの批判を反映したものであるとホノルル・スター・アドバタイザーが報じている。
現在のFAAの規定では、航空ツアーのオペレーターは、低空飛行の許可がない限り、1500フィート(約457メートル)で飛行することが義務付けられている。今回提案されている新たな手続きは、各航空ツアー会社に対し、1500フィート以下に安全に降下する許可を得る能力があることを証明する安全計画を構築するよう求めるというもの。
安全計画案には、航空機の装備やパイロットの訓練、資格などの推奨事項が含まれる。FAAはまた、プログラムを義務付ける規則の作成に取り組んでいる間、ハワイの航空会社に対し、包括的な安全管理システムの導入を奨励している。
FAAの航空安全担当副長官代理であるデビッド・ボールター氏は、4日(金)に発表したニュースリリースで、新提案はパイロットが視界不良に遭遇し、方向感覚を失う状況を回避するのに役立つと述べた。
2019年にカウアイ島でパイロットと乗客6人が死亡したツアーヘリコプター墜落事故を受けて、NTSBは規制当局の航空ツアーに対する監視の甘さを非難した。NTSBのジェニファー・ホーメンディ委員長は、この事故を「100%防ぐことができた」とした。
またNTSBは、2019年にカイルア近郊で起きたツアーヘリコプターの墜落事故で3人が死亡し、同年ディリンハム飛行場で起きたスカイダイビング機の墜落事故で11人が死亡した際にもFAAを批判した。
ハワイ州選出のエド・ケース下院議員は、FAAの新たな取り組みを慎重に歓迎しつつも、ツアー会社がこの構想の文言と精神に従うかどうか、FAAがそれを強制するかどうかは「まだわからない」と付け加えた。「最終的な解決策は、混乱を緩和するために、時間や場所、その他の運航条件といった全ての安全要件を厳格に規制することだ」
なお、この提案は来春の施行を予定しており、FAAによると、15年前の古いマニュアルを置き換えるものになるという。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.8.7)