パンデミックの打撃を受け、閉店ラッシュと再配置を経て、いまワイキキの飲食業界は盛り返しを見せている。その象徴として、一流シェフによる新店の参入が続いているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
パンデミックはオアフ島全域のレストランを直撃し、200以上のレストランが閉店した。その多くは、旅行者の減少でゴーストタウンと化したワイキキにあった。しかし、パンデミックは課題を生み出す一方で、限られた供給と高い需要によって価格がつり上がり、適切な場所を見つけることがほとんど不可能になっていたワイキキの逼迫した市場に、新規ビジネスが参入する機会も生み出した。今、ワイキキのホテルの改装サイクルは完了を迎え、さらにエキサイティングな開発の波を生み出している。それは、このハワイ随一の観光地区に、一流シェフが戻ってくることだ。
今月14日(金)、ハワイの有名シェフとして知られるピーター・メリマン氏は、アウトリガー・リーフ・ワイキキ・ビーチ・リゾート内に「モンキーポッド・キッチン・バイ・メリマン」をオープンした。旧ショアバード・レストランのスペースを利用した、広さ1万3000平方フィート(約365坪)を持つ同店は、モンキーポッド系列店の中でも最大規模となっている。
人気シェフのヴィクラム・ガーグ氏は4月17日(月)、ハレクラニ系列ホテルの「ハレプナ・ワイキキ」(旧ワイキキ・パーク)内に、初の独立フラッグシップ・レストラン「ウミ・バイ・ヴィクラム・ガーグ」をオープンした。旧ノブ・ワイキキのスペースを使用している。
6月14日(水)、日本を代表するイタリア料理の巨匠、落合務シェフによる有名店「ラ・ベットラ」が、アロヒラニ・リゾート・ワイキキビーチ内にソフトオープンした。この店舗は「食堂」「ブホ・クチーナ・イ・カンティーナ」「スカイ・ワイキキ」などハワイの人気レストランを数多く生み出している起業家のヒデ・サクライ氏が手がけており、正式オープンは8月15日(土)を予定している。
ラ・ベットラは、日本人の感覚を取り入れた質の高いイタリア料理を手頃な価格で提供する。メニューには、日本で有名な落合氏のメニューも多く含まれるが、気候や風土がハワイと似ているシチリア島のスタイルも取り入れている。
ワイキキ在住のリテールアナリストであるステファニー・ソフォス氏は、現在見られるパンデミック後の不動産サイクルは、1992年のハリケーン・イニキ以来、ワイキキでは4回目の大きな変化だという。以前のものでは、2000年に日本のバブルからの継続的な脱落に関連したもの、2008年の金融危機の後に起こったものがある。同氏は、「今までワイキキに出店できなかった人たちが、こうしてワイキキに来られるようになった。以前は参入障壁が高すぎたが、不動産オーナーは現実を直視した。彼らはテナントと提携することに積極的になり、そのおかげで誰もが得をすることになる」と語っている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.7.24)