観光客と思われる人物が、世界遺産であるローマのコロッセオ遺跡の壁に自分の名前と恋人の名前を彫っているところが映された動画がインターネットで話題となり、社会問題に発展しているとAP通信が伝えている。
動画を撮影したのは、落書き犯とは全く無関係な旅行者だ。カリフォルニア州オレンジ群に住むライアン・ルッツさんは、ヨーロッパを2カ月間バックパック旅行しており、23日(金)にコロッセオのツアーを終えたところで、その人物がコロッセオの壁に「Ivan+Haley
23」という、あからさまに自分たちの名前を彫っているのを発見した。ルッツさんはその行為にショックを受け、携帯電話で撮影したという。
ルッツさんは落書き犯に近づき、呆れながら「本気なのか?本当に?」と訪ねたが、犯人はただ微笑むだけだった。遺跡の警備員に知らせ、動画を共有したいと申し出たが、警備員もその上司も何もしなかったという。
翌日、ルッツさんは動画をYouTubeとRedditに投稿した。この動画は1500回以上再生され、イタリアのメディアにも取り上げられた。イタリアの通信社ANSAは、コロッセオでこのような落書きが報告されたのは今年で4度目だと指摘。今回の事件の犯人は、1万5000ドルの罰金と5年以下の懲役のリスクがあるという。
ジェンナーロ・サンジウリアーノ文化相は、約2000年前のフラウィウス円形闘技場に刻まれた文字を「深刻で、品位に欠け、大きな侮辱のしるし」と呼んだ。犯人が見つかり、「我々の法律に従って処罰されることを望む」と述べた。
ダニエラ・サンタンチェ観光大臣は、その行為の重大さを理解するために、この観光客が制裁を受けることを望むと述べた。イタリアの文化と歴史を尊重するよう呼びかけ、「私たちの国を訪れる人々が、このような振る舞いをすることは許されない」と断言した。
統計局ISTATが支援するイタリアの観光団体のFederturismoは、2023年のイタリアへの訪問者数は、最高を記録したパンデミック前の2019年を上回り、記録的な数字になりそうだと述べている。
2014年には、ロシア人観光客がコロッセオの壁に大きく「K」の文字を彫ったとして、2万ユーロ(約2万5000ドル)の罰金と執行猶予4年の実刑判決を受けた。また、その翌年には、2人のアメリカ人観光客がモニュメントに名前を彫った後、加重損傷で逮捕されている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.6.28)