全米のホテルの80%以上が人手不足を訴える中、ハワイも例外ではなく、今年の州のホテル雇用予測は、パンデミック以前の水準を12%ほど下回ると予想されているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
「アメリカン・ホテル・ロッジング協会」(AHLA)が今月発表したホテル経営者に対する調査によると、82%もが人手不足を経験しており、26%がホテルの運営能力に影響を及ぼすほど深刻な人手不足を報告しているという。また、40%がハウスキーピング職の補充が最も重要なニーズだと回答している。
この人材不足問題は、5月3日(水)から9日(火)にかけて474人のホテル経営者を対象に実施されたAHLAのフロントデスク・フィードバック調査で明らかになった。数値は、79%の回答者が人員不足を経験していると答えた1月からわずかに増加している。しかし、2022年5月の調査では、ホテル経営者の97%が人員不足を経験していると答え、49%が深刻な不足を経験していると答えており、パンデミックの回復初期と比較すると改善されてきているといえる。
2月にAHLAのために作成されたオックスフォード・エコノミクスの分析では、今年のハワイの直接ホテル雇用は3万9104人、ホテル支援雇用は12万6146人で、2019年の直接ホテル雇用4万4273人とホテル支援雇用14万2821人から11.7%減ると予測されている。なお、全米では2019年から11.1%減と予測されており、ハワイはそれをわずかに上回っている。ハワイのホテル雇用減少予測は、アリゾナ州、ミネソタ州と並んでワースト20位タイとなった。
パンデミックの期間中、ホテルは退職により多くの従業員を失ったが、さらにパンデミックの後にも各職種で退職が相次いだ。時には完全に仕事を辞め、時には新たな機会を求め、より顧客と向き合わない仕事、より少ない労働時間、遠隔地での仕事など、多くの人がワークライフバランスを追求した。
AHLA会長兼CEOのチップ・ロジャース氏は声明で、「宿泊業界全体の労働ニーズは、ホテル従業員の歴史的なキャリアの機会を促進し続けており、彼らは記録的な賃金と、これまで以上に優れた福利厚生や柔軟性を享受している」と述べている。
4月、ホテルの全米平均賃金は、時給23ドル以上と史上最高を記録した。米国労働統計局の数字によると、2019年4月から5ドル以上上昇している。それでもなお人員は減少しており、ホテルは人材確保を急務としている状態だ。
AHLAの調査によると、全国のホテルの雇用主は採用活動をしており、75%が賃金を引き上げ、64%が時間の柔軟性を高め、36%が福利厚生を拡充している。しかし、調査対象となったホテル経営者の87%が、まだすべての募集職種を満たすことができていないと答えている。
13日(火)にindeed.comに掲載された求人では、転居支援やボーナス、旅行特典、株式購入の割引など、さまざまな採用インセンティブを提供している。
「プレザント・ホリデイズ」は、コナのホテルでコンシェルジュとして働くと、1000ドルのリテンション・ボーナスと年間650ドル相当の旅行券2枚を提供するとしている。「マリオット・バケーションズ・ワールドワイド」は、職種により500ドルから1000ドルの採用一時金を提供するとしている。「ウォルドーフ・アストリア・リゾート」の「グランド・ワイレア」は、ビストロ「モロキニ」のレストラン総支配人の募集広告で、旅行割引プログラム「ゴー・ヒルトン」などの特典のほか、ヒルトン株を15%割引で提供するとし、また、「DailyPayを通じて必要なときに給与にアクセスできる」と謳っている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.6.15)