フロリダ州タンパベイに住む男性が、足の組織を破壊し始めた肉食バクテリアの感染から生還した。ニュースチャンネルのWFLAの報道によると、被害者のドニー・アダムス氏は、「人間に噛まれただけで、肉食バクテリアのような恐ろしいものに感染するとは想像もしていなかった」と語ったという。
今年2月、アダムス氏が家族の集まりに参加していた時、2人の家族の間で険悪な雰囲気になった。仲裁に入ったところ、同氏は足を噛まれてしまったため、病院に行き、破傷風の注射と抗生物質を処方されたという。
ところが、3日後に足に激痛が走るようになった。感染症が悪化し、患部は熱を持ち、痛くて歩けないほどになったため、アダムス氏はセント・ピーターズバーグのHCAフロリダ・パサデナ病院の緊急治療室(ER)に搬送された。
HCAフロリダ・パサデナ病院の整骨医であるフリッツ・ブリンク医師は、「患者を見て、手術室に連れて行く必要があると告げた」と振り返る。症状は、想像していたよりも悪く、壊死性筋膜炎になっていた。この細菌性疾患は、一般に肉食性細菌として知られており、筋鞘に沿って移動し、健康な組織を破壊する。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、壊死性筋膜炎はさまざまな細菌によって引き起こされるが、最も一般的なのはA群連鎖球菌で、通常は皮膚の傷から侵入するという。
アダムス氏の場合、細菌は噛み傷を経由して体内に侵入したとブリンク医師は考えており、「口の中の歯と歯の間や歯茎には、本当に悪い細菌がうようよいる」と語る。同医師は、アダムス氏の太ももから感染した組織を切り取るために、2度目の手術を行った。
「もし、2回目のERの診察で、翌日まで待っていたら、足を失っていた可能性は十分にある」とアダムス氏は語る。
また、敗血症性ショックに陥り、命にかかわる可能性もあった。ブリンク医師は、細菌感染症は非常に早く進行する可能性があると指摘する。また、傷のある人は、赤み、痛みの増加、温かさなど、感染悪化の兆候に注意し、アダムス氏のようにすぐに医療機関を受診するよう勧めている。
アダムス氏は、「医師たちは私の傷を確認し、恐ろしい状態だった。信じられなかったが、でも、心の中では、これが何であれ乗り切るしかないと思った」と振り返り、生き延びることができたのは医師と瞑想と祈りの力によるものだと語っている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.6.9)