1992年にカウアイ島を直撃したイニキは、風速145mのカテゴリー4のハリケーンで、6000戸以上の家屋を破壊または損壊させた。このような大型ハリケーンが人口密度の高いオアフ島を襲った場合、さらに甚大な被害になると専門家は警告を発している。
ハワイ・ニュース・ナウによると、専門家や緊急事態管理担当者は、想像するだけでなく、実際にどのような被害が出るのか、試算を行っているという。州気候学者のパオシン・チュー氏は、「オアフ島は資産価値が高いので、同じ系統が直撃したら、本当に大変なことになる」と語る。
ハリケーンによる最大の脅威のひとつは、都市圏での洪水だ。ハワイ大学シー・グラント・カレッジ・プログラムの沿岸地質学者で沿岸管理の専門家であるブラッド・ロミン氏は、「ここハワイでは、建築開発が海岸線に集中しており、低地はすでに水害危惧エリアだ。そのため、ハリケーンで海や河川の水位が上がると、リスクがさらに高まることになる」と述べている。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)のハリケーン洪水マップによると、イニキと同じ強さのハリケーンが南から上陸した場合、ホノルルのダウンタウンとワイキキの多くの地域が3~6フィート(約91〜183センチ)の高潮にさらされることになる。また、ダニエル・K・イノウエ国際空港の一部は、9フィート(約274センチ)以上浸水することになるという。
洪水だけでなく、風の脅威もある。ホノルル・エマージェンシー・マネージメント・エージェンシーの副局長であるジェニファー・ウォルター氏は、「古い設計基準で建てられた住宅は、風に対する耐性を備えていない、あるいは改修されていないものが相当数あり、緊急対応と長期的な復旧の両面に多くの影響を与える」と語る。
ハリケーンが去った後も、電力が失われ、携帯電話の電波塔が倒れ、インターネットが遮断されるといった、インフラが不安定な状態が続く可能性もある。その状態が何を意味するのか、ウォルター氏は、「誰の電話番号が必要なのか? どこに行けばいいのか? グーグルマップに完全に依存している人間がどうやって行けばいいのか? と、住民は考えておく必要がある」と語っている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.6.9)