丸い穴が中央に開いた形といい、甘い香りといい、ドーナツが大好という人は多い。
6月の最初の金曜日は、全国ドーナツ・デーだ。
第1次世界大戦中に、ヨーロッパで戦うアメリカ人兵士のためにドーナツを作った慈善団体「サルベーション・アーミー」のメンバーに敬意を表するために設けられた日でもある。
このドーナツの誕生にまつわるストーリーをフォックス・ニュースが伝えている。
ドーナツを発明したのは、海兵隊のハンソン・クロケット・グレゴリー隊長(1832年〜1921年)だと言われている。
グレゴリー氏がまだ10代で、海兵隊のコックの手伝いをしていたときに、兵士たちの食事により良いものをと考え出されたのが、リング状で油で揚げたものだったという。
1847年6月22日の出来事だ。
それまで数百年もの間、兵士たちは海の上で、ラード油で揚げられた小麦粉の塊を食べてきた。
ただの丸い塊は油っぽく、中まで火が通っていない酷い代物だったようだ。
ラード油を吸った塊は重く、兵士たちは「シンカー(沈むもの)」と呼んで嫌悪していた。
そこで15歳のグレゴリー氏は、この重い塊を軽くすることを考えた。
缶の蓋を切りとってクッキー型とし、小麦粉の塊の中央に穴を開けたのだ。
軽くなった小麦粉の塊は、中まで十分に火が通るようになり、きれいに揚がるようになった。
このアイデアは、世界中の海兵の間に瞬く間に広がっていったという。
現在、アメリカ国民は、1年間で100億個のドーナツを消費しており、国民の96%がドーナツを好むという統計が発表されている。
グレゴリー氏は、晩年を過ごしたマサチューセッツ州クィンシーのボストン湾を見下ろす墓地に眠っているが、小さな墓碑には「ハンソン・グレゴリー隊長。ドーナツの発明者として国立ベイカー協会によって認定される」と刻まれている。
写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.6.3)
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