マイアミ国際空港で密輸業者から没収した中米原産のオウムの雛が、レア・スピーシーズ・コンサバトリー・ファウンデーション(RSCF)によって育てられ、すくすくと成長中であるとAP通信が伝えている。
このオウムたちは、森の中にある巣から卵の状態で密猟され、密輸途中のマイアミ空港で保護された。マイアミの連邦地方裁判所に提出された刑事訴状によると、乗客のズー・タ・ウー容疑者が3月23日(木)、ニカラグアのマナグアからTACA航空392便でマイアミ空港に到着し、台湾に帰国するために別の便に乗り換える途中、米国税関国境警備局の係官が同容疑者のキャリーバッグの中からかすかに鳴き声がするのに気づいたという。
係官は検問でウー容疑者を止め、バッグから聞こえる鳴き声について尋ねると、同容疑者はバッグの中身を見せた。そこには卵が29個あり、中には孵化したばかりの羽のない雛もいたという。専門家によると、このバッグは温度管理されたクーラーバッグだったという。
同容疑者は逮捕され、5日(金)に米国への鳥の密輸の罪を認めた。8月1日(火)に予定されている判決では、最高で20年の禁固刑が言い渡されることとなる。
フロリダ国際大学の教授でRSCFのディレクターであるポール・レイロ氏は、連邦政府からの連絡を受け、孵化したばかりのオウムを救うために奔走した。29個の卵のうち26個が孵化し、26羽の雛のうち24羽が生き延びた。
しかし、これらが何の種類のオウムなのかは、まだわかっていないという。生まれたばかりの雛には羽がないため判別が難しく、現在では羽は生えそろいつつあるものの、360種類もいるオウムのうちのどれに当たるかは、まだ特定されていない。
フロリダ国際大学の法医学チームは、卵の殻と死亡した鳥からDNAサンプルを抽出。その結果、生き残った24羽のオウムは8〜9羽の群れから生まれたもので、キエリボウシインコとキホオボウシインコの2種が含まれていることがわかった。
どちらもかわいくて気性が穏やかなため、鳥の密輸業界では人気があるという。レイロ氏は、中米からの密輸ルートは確立されており、何年も続いていると語る。「実際、世界のオウムにとって最大の脅威は、生息地の喪失と密輸業者の組み合わせだ。オウムの違法取引用に約90%の卵が密猟されている」
アマゾンに生息する野生のキエリボウシインコは1000〜2500羽ほどしかなく、バードライフ・インターナショナルは絶滅危惧種に分類している。また、キホオボウシインコも個体数の減少が指摘されている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.5.26)