1982年発生の殺人事件、容疑者特定 ホノルル検察局
1982年9月にアトランタからホノルルを訪れていたデルタ航空従業員、キャシー・ヒックスさん(当時38)が殺害された事件で、ホノルル検察局がフロリダ在住で歯科衛生士のトーマス・ガーナー容疑者を起訴する見込みであることを発表した。迷宮入りかと思われていた殺人事件だったが、最新のDNA型鑑定で一転、解決の糸口が掴まれた。1984年に海軍の新兵だったパメラ・カハネスさん(当時25)が殺害された事件の捜査中、ヒックスさん殺害事件との重要な共通事項が見つかったという。
ホノルル警察は5月21日、ガーナー容疑者はまだホノルル警察署に拘留されていないため起訴されていないが、カハネスさん殺人事件を担当した検察官らと起訴について協議したと述べた。ガーナー容疑者は1984年、カハネスさんを殴った後で首を絞めて殺害し、フロリダ州中部の草原地帯の畑に遺体を遺棄した。容疑者は今年5月6日、第一級殺人容疑で終身刑を言い渡された。カハネスさんは当時、オーランド海軍訓練センター新兵訓練所を卒業したばかりだった。
ヒックスさん殺害事件についてホノルル警察署は、「1982年9月18日の午後11時から翌日の午前10時の間に殺害された」と発表した。また、当時の捜査は広範囲に及んだものの、決定的な証拠を得るまでには至らなかったと述べた。AP通信の報道によると、ガーナー容疑者は1980年4月から1982年10月までハワイに居住していた。
当時一般公開された指名手配書では、容疑者の特徴について、20代半ばで身長6フィート、体重150~160ポンド、茶色の目と短い黒髪だと説明された。ホノルル・スター・ブルテインの報道によると、ヒックスさんは遺体が発見される前日、カピオラニ公園でユナイテッド航空が主催するソフトボール・トーナメントに参加していたという。ヒックスさんは殴られた後、首を絞められて殺害され、遺体はヌアヌ地区のパリ・ドライブ沿いにある給水ポンプ場公園の堤防の下でジョギング中の人に発見された。遺体に着衣の乱れはなかったという。当時、ホノルル警察はヒックスさんについて、アフリカ系アメリカ人で短いアフロヘアスタイル、身長5フィート3インチ、体重132ポンド、紫色のブラウスにベージュのスラックス姿で、金のイヤリングとチェーンネックレスをつけていたと説明していた。
ヒックスさん殺害の2年後の1984年8月5日、下着姿のカハネスさんの遺体が発見された。捜査は一旦迷宮入りになったものの1990年代に再開され、その際に下着に付着した体液が発見された。捜査関係者は、「2018年の時点で、容疑者のDNAプロファイルを作成し、データベースから『家系図』を構築できるところまで技術が進歩した」と話した。2019年2月、ガーナー容疑者を監視していた捜査官は、ジャクソンビルの自宅前で容疑者が捨てたゴミ袋を回収。ゴミ袋の中に入っていた煙草の吸い殻や綿棒、使用済みデンタルフロスなどから収集されたDNAは、カハネスさんの下着に付着していた体液と一致した。ホノルル警察は、今年4月になってDNA型鑑定によりヒックスさん殺害事件の容疑者がようやく特定されたことを発表した。
(日刊サン 2021.05.24)
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