21日(日)、全米の人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」シーズン21の決勝戦が放送され、オアフ島カフク出身のイアム・トンギさん(18)が優勝したとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
トンギさんは2位のミーガン・ダニエルさん(ジョージア州)、3位のコリン・ストウさん(ミシシッピ州)を破り、シーズン21のアメリカン・アイドルに輝いた。
番組司会者のライアン・シークレスト氏がトンギさんの優勝を発表すると、家族、友人、隣人、通行人のカップルが歓声をあげた。その後間もなく一行はノースショアのカメハメハ・ハイウェイの両脇に移り、「チーム・トンギ」の応援団が看板や旗、バナーを通行中の車に振り、ドライバーはクラクションを鳴らして応えた。
カフクで生まれ育ったトンギさんは、現在ワシントン州フェデラルウェイに住んでおり、同市のディケーター高校を卒業予定となっている。オーディションで、審査員のライオネル・リッチー氏にハワイを離れた理由を尋ねられたトンギさんは、「楽園(パラダイス)の生活費が高すぎて」と答えた。
審査員のケイティ・ペリー氏は21日(日)、トンギさんの発言になぞらえて、「パラダイスへようこそ、マイ・フレンド」とコメントしている。
リッチー氏、ペリー氏、そしてルーク・ブライアン氏3人の審査員は、全体的にトンギさんに肯定的な評価を与えた。大会の序盤、トンギさんがキース・アーバン氏の「Making Memories of Us」を披露した後、リッチー氏は「なぜ私はここに座って、すでに知っている曲で涙を流しているのだろう?」とコメントしている。「でも、あなたの伝える力は素晴らしく、それこそがあなたのキャリアを永遠に輝かせるものだ」
また、トンギさんがコロヘカイの「Cool Down」を披露した際、ブライアン氏は、「ケイティと私は、お互いを見ると泣き出してしまうので、お互いを見てはいけないと決めている 」と語っている。
16日(火)にノースショアで開催されたトンギさんの凱旋パレードと無料コンサートのヘッドライナーを務めたブレントン・アワ州上院議員は、トンギさんの勝利が地元の若者やハワイ全体に刺激を与えるだろうと語った。「彼は私たち全員を代表している。サッカーでも歌でも、この地区にはたくさんの才能がある。彼の活躍は、多くの子どもたち、若者たちに、夢を追いかけることができるという目を開かせてくれた。それが一番大きな役割だ」
過去にも何人かのハワイ出身者が同オーディション番組に合格し、出場している。ジョーダン・セグンドさんはシーズン2で26位、ジャスミン・トリアスさんはシーズン3で3位、カミール・ヴェラスコ(通称エリマック)さんは9位、リアホナ・オラヤンさんはシーズン19で19位だった。
トンギさんがタイトルを獲得したこともさることながら、多くのファンにとってフィナーレで大きな意味を持ったのは、トンギさんが2月に行われたオーディションで選んだ「Monsters」のハナホウ演奏だ。この曲は、イギリスのシンガーソングライター、ジェームス・ブラント氏が、父親が腎不全で死に直面したときの心境を綴ったものだが、トンギさんの父、ロドニー・トンギ氏も腎不全で亡くなっている。トンギさんは涙をこらえながら歌い、審査員も涙を流すまいと懸命だった。
フィナーレでは、再び「Monsters」を歌ったが、今度は非競技として、ブラント氏とのデュエットを披露した。その時もまた、トンギさんは涙をこらえていた。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.5.22)