アルコール摂取、量に関わらず脳にダメージ 英研究
オックスフォード大学は、長期にわたり、イギリス国内の2万5,000人超の成人の臨床データと画像サンプルを元に、アルコール摂取による脳への影響を調査している。被験者の年齢層は、研究が始まった2006年から2010年の時点で40歳から69歳。ほぼ全ての被験者に飲酒の習慣があり、飲酒をしない人は5.2%。ほぼ半数が英国の「低リスク」ガイドラインを超えるレベルで飲酒をしていたが「大酒飲み」と見なされた人はほとんどいなかったという。研究チームは、MRIの脳の断層画像などからアルコール摂取と脳の灰白質との相関関係を探った。
その結果、アルコール消費量が多いほど脳全体の灰白質密度が低くなることが分かった。さらにワイン、ビール、スピリッツなどの種類に関わらず、アルコールは同じ程度の害を脳に及ぼす可能性が高いという。また、「安全な量のアルコール」は存在せず、適度なアルコール摂取による脳へのダメージは以前に認識されていたよりも広範囲にわたる。エタノール(アルコールの一種)は脳組織全体に拡散する性質があり、大量の飲酒や高血圧の症状がある人はより影響を受けやすい可能性がある。飲酒による有害な影響は、他の修正可能な要因よりも大きいようだ。研究者は「脳への影響を考慮し、現在の『低リスク』飲酒ガイドラインを再検討する必要がある」と述べた。
(日刊サン 2021.05.21)
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