ケニアで最も高齢の野生のライオンの1頭が地元の牧畜民によって殺されたことで、ケニア政府は懸念を表明しているとAP通信が伝えている。
ケニア野生生物局のスポークスマンであるポール・ジナロ氏によると、ルーンキイトと名付けられた雄ライオンは19歳で、かなり弱っており、11日(木)の夜に食べ物を求めてアンボセリ国立公園から人里に迷い込んだところ、牧畜を生業としている地元民に殺されたという。
カジャド郡ムビリカニ地区では、同じ国立公園の他の6頭のライオンが11頭のヤギを殺した後、牧畜民たちによって槍で突かれて命を落とした。この死により、牧畜民によって殺されたライオンの数は先週だけで10頭にのぼった。人間と野生生物の衝突が激化しており、政府の悩みの種となっている。
ペニナ・マロンザ観光相は14日(日)にムビリカニ地区で地元住民に会い、放浪するライオンを攻撃せず、代わりに野生動物保護局に連絡するよう呼びかけた。
政府と自然保護団体は、野生動物に家畜を殺された牧畜民に対する補償制度を設けている。しかし、東アフリカ地域では過去数十年で最悪と言われる干ばつで家畜を失っており、牧畜民たちは以前よりも家畜を守ることに敏感になっている。
自然保護団体「ビッグ・ライフ・ファウンデーション」のクレイグ・ミラー氏は、ルーンキイトはアンボセリ国立公園で最も高齢のライオンであったため、今回の殺害は残念なことだと述べた。自然保護団体の関係者によると、野生のライオンが15歳を超えて生きることはほとんどないという。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.5.15)