マオリ族議員、質疑応答中に「ハカ」踊って強制退場 ニュージーランド
ニュージーランド議会で12日、マオリ党共同党首のラウィリ・ワイティティ氏が先住民の権利についての質疑応答の最中に伝統的な「ハカ」を踊って退場を命じられた。同氏が議場から退場させられるのは今年2度目。
ジャシンダ・アーダーン首相と右翼野党ニュージーランド国民党指導者のジュディス・コリンズ氏が質疑応答をしている際、ワイティティ氏がこれを遮る形で「野党の言動は人種差別的だ」と非難を始めた。これに対し議長が中止するよう促したものの従わなかっため、ワイティティ氏のマイクのスイッチがオフにされた。その後、同氏がマオリ族の「ハカ」を踊り始めたため、即座に退場を命じられた。「ハカ」はニュージーランドでラグビーの試合前などに行われる伝統的な戦争のダンスで、戦う前に対戦相手への挑戦を示す掛け声のような意味を持つ。
コリンズ氏は先住民の権利の問題におけるアーダーン首相の対応に批判的で、首相が最近、医療サービスの不平等是正を目的に創設した「マオリ保健局」にも反対している。ワイティティ氏は2月にもネクタイの着用を拒否して退場を命じられた。この件について同氏が「先住民の文化を抑圧している」と主張したため、議会はその後、ネクタイ着用の規則を取り下げた。
マオリ族はニュージーランドの人口の約15%を占めているが、イギリスによる植民地化の際に土地の多くを没収された。近年、マオリ族の社会的および経済的不平等に政府が対処していないとし、数千人規模で抗議集会やデモが繰り広げられている。一方、アーダーン首相は2月、マオリ族の歴史に関する全国的なシラバス作成計画を発表した。また昨年11月には、ナナイア・マフタ氏が国内初の先住民族の女性外相に任命された。
(日刊サン 2021.05.13)
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