ホノルル鉄道プロジェクト、車輪と一部線路の幅合わず・・・開業時期さらに遅延か
ホノルル鉄道プロジェクト、車輪と一部線路の幅合わず・・・開業時期さらに遅延か
工事に遅延が生じているホノルル鉄道プロジェクトに、新たな問題が降りかかっている。HART(ホノルル・レイル・トランジット)は現在、車輪の幅が狭すぎ、線路の幅にフィットしていないため、車輪を交換するか、現在の線路を全て撤去し、幅が修正された線路を再び敷くかの選択を迫られているという。線路を敷き直す場合、工事が予定よりさらに1年遅れる可能性がある。
ホノルル・スター・アドバイザーの報道によると、ホノルル高速輸送局暫定CEO兼事務局長のロリ・カヒキナ氏は「この問題について、どちらの解決策を選択するかはまだ決まっていない」と述べた。これについてHARTは、コンサルタントや日立などの関係者らと共に最も有効な解決策を模索しているという。カヒキナ氏によると、「フロッグ」と呼ばれている線路の交差点で、列車の車輪の幅が線路に対して0.5インチ狭いことから、列車は現在、速度を落として交差点を通り抜けている。しかし、カヒキナ氏は「速度を落とすとさらに別の問題が発生する」と話した。
車輪と線路の不具合が発見される以前、列車はフロッグの上を時速55マイルで走っていた。しかし、線路の損耗などいくつかの不規則性が見られたため、今回の問題が明らかになったという。現在は列車を遅く走らせることで問題に対応しているが、カヒキナ氏は「駅に電車が来るのは4~5分おきと予想されており、特に通勤の時間帯に毎回列車を減速させることはできない。従って、この問題は修正される必要がある」と述べた。
車輪を交換した場合、HARTは年末までにアロハスタジアムとホノルル市運輸サービス局に鉄道プロジェクトを引き渡すことが可能だという。一方、線路の交換が必要な場合は年末までの引き渡しは難しい。カヒキナ氏は「線路を交換する場合、製造と出荷に約1年かかる。さらに、現在敷かれている線路を分解し、新しい線路を入れるための設備も必要になってくる」と語った。
日立レイル・インターナショナルは、開業後から13年3ヶ月間、市内の鉄道路線の運営および維持を担う契約をHARTと結んでいる。開業に遅延が生じ、日立が契約を実行する準備ができていた場合、HARTは、列車が運行されていなくても1日13万ドル(約1,420万円)を日立に支払う義務があるという。これについてカヒキナ氏は「最も避けたいところだ」と話した。
また、資金不足の問題もある。ガイドウェイ1マイルあたりの建設費用は1億5000万ドル(164億円)になり、各駅の建設費用は5,000万ドルから7m500万ドル(550億円から820億円)に上昇すると予想されている。8駅はまだ建設されていない。鉄道プロジェクトの予算は現在124億9,900万ドル(1兆3,680億円)だが、不足額は約30億ドル(3,284億円)に達している。カヒキナ氏は「さまざまなアプローチにより、不足額の20%から25%は賄えると予想している」と話した。
写真:Eric Broder Van Dyke / Shutterstock.com
(日刊サン 2021.05.13)
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