アメリカ国立がん研究所の発表によると、若いネイティブ・ハワイアンおよび太平洋諸島民(NHPI)は、米国の同年代の中で最も高いがん死亡率を持つ人種グループであることがわかったとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
医学雑誌の「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティチュート」(JNCI)に発表された記事によると、2018年から2020年にかけて、20歳から49歳の太平洋諸島民は、他の人種および民族グループ(アメリカ先住民/アラスカ先住民、アジア人、黒人、ラテン系、白人)の20歳から49歳と比較して、あらゆるがんによる死亡率が最も高いという。
ハワイ大学(UH)がんセンターの研究者であり、ハワイ腫瘍登録(HTR)主任研究員のブレンダ・ヘルナンデス氏は、「これらの格差は、アジア人と太平洋諸島民を互いに区別することの重要性を明確に示している」と述べている。
最近まで、米連邦レベルでの人種報告では、アジア系、ハワイ先住民、太平洋諸島民の祖先を持つ米国人はすべて1つのカテゴリーにまとめられていた。しかし、ハワイは独特の多民族コミュニティからなるため、HTRは、より詳細な統計データを収集し、報告を行ってきた。ヘルナンデス氏は、「ハワイでは、アジア人、ハワイ先住民、太平洋諸島民の各民族コミュニティは、劇的に異なるがん負担を経験している」と述べている。
昨年、HTRが発表した「ハワイがん一覧」では、ハワイ先住民の女性は、中国、フィリピン、日本などハワイに住むアジア系や白人の女性よりも乳がんや肺がんによる死亡率が高いことが明らかにされている。
UHがんセンターは、新ディレクターのナオト・ウエノ氏のもと、こうした格差に対処するために「多因子アプローチ」をとっている。これには、同センターの研究者がカカアコで革新的な臨床試験を実施できるようにする、待望の初期段階臨床研究センターの建設も含まれている。
ウエノ氏は、「より強固な臨床研究を確立することで、人々が州内に留まることができるような臨床試験をより多く提供できるようにしようとしている。様々な関係者とともに集合的な影響力を持つ必要があり、UHがんセンターは、こうした変化をもたらす原動力となり得る」と語っている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.5.9)