もしあなたがホテル従業員で、宿泊客から家族で行くのにおすすめのビーチを尋ねられたとする。あなたが勧めたビーチに出かけた客がケガをしてしまったら、あなたや勤務先のホテルに責任はあるのだろうか?
マウイ島で起こった事件の裁判の結果をKHON2が伝えている。
2012年8月、家族でマウイ島を訪れていた一家が宿泊していたホテルの従業員におすすめのビーチを聞いたところ、従業員は「ビッグ・ビーチ」を勧め、車での行き方も伝えた。
一家は勧められた「ビッグ・ビーチ」へ出かけ、ライフ・ガードの常駐していた見張り台の側に場所を確保した。
駐車場からビーチへ向かう歩道には、波にさらわれて転倒した人の絵とともに、大きく「警告」と記された「波打ちぎわ危険」の標識が立てられていた。
また、「浅瀬で波がくだけます。小さな波でも深刻な怪我の可能性あり。心配なら、絶対に海に入らないで」とも書かれている。
この周辺には、赤い旗とともにこのような標識がいくつか立てられており、当日は、ライフガードも何度も警告のアナウンスをマイクで行っていたという。
しかし、裁判では原告の男性は、そのような警告のアナウンスは聞いた覚えはないし、歩道で警告の標識も見ていないと主張した。
10分ほど海で遊んだ後、男性は沖に上がろうして、後ろから来た高波にさらわれて海底で頭を打ってしまい、結果として首に損傷を受けて半身不随になった。
男性は、ホテル従業員が波に関する注意をしないでビーチを勧めたことが原因で半身不随となったとホテルを提訴したが、ホテル側はホテルと何の関係もないビーチで起こった出来事で、波の状況について警告する義務はないと反論し、ビーチには警告の標識があったのだから、それを見て危険を察するべきだと述べた。
裁判所の判決では、ホテル側には敷地外での宿泊客の安全について警告する一般的な義務はないとし、従業員の勧めには安全に対する保証は含まれず、ビーチを勧めたからといって、ホテルが警告をする義務はないと、男性の主張を退けた。
また、ビッグ・ビーチには警告標識が立てられており、その標識は条例によって定められているとも述べた。
この事件に関しては、2017年5月19日に地方裁判所での最終判断が下されていたが、その後、州裁判所に控訴されており、今回の判決は2022年3月31日の控訴却下を支持した。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.5.3)