ハワイでは高齢者を狙った詐欺の被害額が急増している。FBIが2022年に発表した高齢者詐欺報告書によると、60歳以上のハワイ在住者の400人近くが、1630万ドル以上の詐欺に遭っていることがわかったとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
全米で見ると、すべての成人が狙われており、30歳代が最も多く、9万4506人が被害に遭っている。しかし、最も被害額が大きいのは高齢者層で、昨年の被害額は過去最高の31億ドルとなり、2021年から85%も増加した。
AARP(旧アメリカ退職者協会)のハワイ州ディレクターであるケアリイ・ロペス氏は、「犯罪者は、お金を貯めている多くのクプナ(高齢者)をターゲットにするので、被害額が大きくなる」と述べている。
最もよく使われる詐欺の手口のひとつは、コンピュータの技術サポートを持ちかけるものだという。FBIホノルル支局の特別捜査官であるスティーブン・メリル氏は、「パソコンにポップアップウィンドウが表示され、“問題が発生している”と言われることがある」と話す。そのウィンドウには、問題を解決するための「ここをクリック」ボタンや電話番号が表示されており、ボタンをクリックしたり電話をかけることで詐欺に誘導される仕組みになっている。
もうひとつのよくある手口としては、犯罪者は政府機関になりすまし、リンクを提供することで金銭、クレジットカード情報、あるいは暗号通貨を要求するというものだ。メリル氏は、政府機関がそのような方法で支払いを求めることはないため、暗号通貨を要求される場合は赤信号だと呼びかけている。
このほか、投資勧誘もよくある詐欺の手口で、不動産投資、マルチ商法、偽の新興企業など、さまざまなものがある。また、ソーシャルメディアを使って、被害者の友人や家族のふりをして、信頼を得ようとする詐欺師もいるという。
FBIは、よく知らない会社には個人情報や財務情報を絶対に渡さないこと、また暗号通貨で支払いを行わないように呼びかけている。
また、詐欺被害を回避するアドバイスとして、ゆっくり行動することが有効だという。ロペス氏によると、詐欺師は常に素早い行動を求めてくるが、これは被害者に考える時間を与えないためだという。同氏は、「犯罪者は、考える時間があれば、詐欺に引っかかる可能性が低くなることを知っている」と述べ、よくわからないことが起きたら家族に電話することを勧めている。
なお、詐欺の被害者は恥ずかしさから報告しないことが多いが、すぐに警察署に連絡することで、取引を停止したり、さらなる損失を防ぐことができる。
AARPは、詐欺についての啓蒙イベントを予定している。
- 5月3日(水)ヒロ・ハワイアン・ホテル、午前9:30
- 5月4日(木)マウイ・アート&カルチャー・センター、午後5:30
- 5月5日(金)ロイヤルコナ・リゾート、午前9時30分
- 5月6日(土)アラモアナ・ホテル、午前9時
イベントの詳しい情報はこちら。
https://events.aarp.org/c/calendar/4e9d11ed-72bd-4ef1-9d1a-656ed1bc705f
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.4.26)