ハイキング中の救助要請が相次いで発生したことを受けて、州当局は、自分の限界を知り、日陰のないトレイルがどれほど暑くなるかに注意するよう呼びかけているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
23日(日)朝、ラニカイ・ピルボックス・トレイルをハイキングしていた60代の男性が、約12メートル下に転落し、死亡した。ビジター・アロハ・ソサエティ・オブ・ハワイ(VASH)会長のジェシカ・ラニ・リッチ氏によると、被害者はメリーランド州から妻と娘とともにハワイを訪れており、滑落事故は彼らの到着からわずか1日後、娘の30歳の誕生日に起こったという。
VASHは、ハワイを訪問中の旅行者が事故や事件に見舞われた際に、家族が必要な手配を行うのをサポートするなどの援助活動を行っている。リッチ氏は、「ハイキングは多くの旅行者が好むアクティビティのひとつだが、緊急事態の発生に備えて、一人でハイキングしないよう推奨している」と述べている。
ラニカイ・ピルボックス・トレイルは、正式にはカイヴァリッジ・トレイルという名称で、1.7マイル(約2.7キロ)の州道からなり、コースの途中にある旧燃料庫からの眺望はソーシャルメディアなどで人気を集めている。現地では危険なトレイルとは考えられていないが、ガードレールのない急な落差のある場所もあり、またハイカーが増えたことでトレイルの浸食が起こっており、騒音や不法侵入への苦情も発生している。
24日(月)の朝、同トレイルで再びハイカーの救助活動が行われた。ホノルル消防署の救助ヘリ「エア1」が女性ハイカーを近くの公園まで空輸し、その後女性はホノルル救急医療サービスに搬送された。
カイヴァリッジ・トレイルは、大量のハイカーの管理向上のために、すでに90万ドルの改良が予定されている。資金が確保されたとはいえ、改善はまだ途上だ。1日に1000人ものハイカーが訪れることもあり、常に多くの人が行き交い、それが救助の多さにも繋がっている。また、日陰がなく、トレイル全体が太陽にさらされているため、熱中症などになりやすい。
州土地自然資源局(DLNR)は、ダイヤモンドヘッド州立記念公園で行われているような予約システムを使い、カイヴァリッジ・トレイルでのハイカーの数を制限することを検討しているが、予約制を導入したダイヤモンドヘッドでもハイカーの救助要請が頻発している。
ダイヤモンドヘッドでは、22日(土)に意識を失った60代女性、23日(日)に60代女性、24日(月)に50代女性と、3日連続で空輸での救助活動が行われている。ダイヤモンドヘッドを訪れる人の多くは旅行者で、経験の浅いハイカーであるため、オアフ島でトップの救助現場となっているという。
州立公園の管理者であるカート・コットレル氏によると、通常ダイヤモンドヘッドでの救助要請は1週間に1回程度で、熱中症や、適当な靴を履いていないために足首を捻挫するのが一般的だが、時には心肺停止に陥ることもあるという。
ダイヤモンドヘッドのトレイルは、舗装され、手すりがあり、無料の水補給ステーションがあり、質問に答えてくれる解説マネージャーも常駐している。気軽に歩けるハイキングコースだと考えている人が多いが、普段ほとんど身体を動かさない人にとっては厳しい勾配であり、また日中はかなり気温が高くなるため、出かける際にはくれぐれも注意が必要だ。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.4.25)