ハワイで合成オピオイドのフェンタニルの過剰摂取が増加する中、州教育局(DOE)は現在、州内の学校に「ナルカン」を配布する初期段階であるとハワイ・ニュース・ナウが報じている。
ナルカンは鼻腔スプレーで、オピオイドの過剰摂取の特効薬として知られている。
薬物乱用及びメンタルヘルス・サービス管理局(Substance Abuse and Mental Health Service Administration)によると、未成年者の30%が12歳から14歳の間に薬物に手を出し始めるという。一方、ハワイでは昨年、合成オピオイドによる死者数が過去最多となり、州保健局は、フェンタニルによる死亡は州全体で少なくとも60人にのぼったと発表している。
DOEは、少なくとも1人の職員が保健局の監督によるトレーニングコースを修了すれば、学校は校内にナルカンを置くことができるとしている。12月以降、300人以上のDOE職員がナルカンに関する講習を受け、鼻腔スプレーについて、またどのような場合に投与すべきかについて学んだ。DOEは、州内のすべての学校にオピオイド過剰摂取の解毒剤を設置することを望んでいるという。
ナルカンは副作用のリスクが少ないことも利点となっている。DOEの疫学者ダン・ガラニス氏によると、ナルカンの成分であるナロキソンの副作用のリスクはほとんどなく、たとえ生徒がオピオイドの過剰摂取とは別の健康問題を抱えていたとしても、危険性が少ないと述べている。
現在、ハワイでは、ナルカンを自前で用意する学校が増えつつある。エヴァビーチにあるイリマ中学校は、7〜8年生およそ700人が通っているが、州にナルカンを要請し、2カ月前に受け取った。現在、ナルカンは学校の保健室に保管されているが、校内のさまざまな場所に設置する予定だという。グリーンランド校長は、「今のところ、校内でフェンタニルによる大きな影響は見られないが、もし私たちが過剰摂取に対応する方法を知らなかったり、対応するためのリソースを持っていなければ、それは職務怠慢だ」と語っている。
同校長によると、すでに2人の保健補助員がナルカンのトレーニングを受けており、また、教師や管理者、事務員の何人かがトレーニングコースを受ける予定だという。「現実的には、希望すれば誰でも受講できるようにしたい」
なお、ナルカンは州内の学校に無料で提供される。
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写真:Hanson L / Shutterstock.com
(日刊サン 2023.4.21)