15日(土)の早朝、アラスカの上空にて、緑色に発光するオーロラの中に、銀河のような薄い水色の渦巻が数分間にわたり出現し、話題になっているとAP通信が伝えている。
侵略にやってきたエイリアンか、はたまた宇宙の果ての入り口が現れたのか……。
事実は平凡なものだった。それは、約3時間前にカリフォルニアから打ち上げられた「SpaceX」社のロケットから放出された余分な燃料だったことが判明した。
アラスカ大学フェアバンクス地球物理学研究所の研究准教授で宇宙物理学者のドン・ハンプトン氏は、「ロケットには燃料を放出しなければならない場合があり、高い高度でそれを行うと、燃料は氷に変わる。それがたまたま日光に当たると、地上の暗闇の中にいるとき、一種の大きな雲として見ることができ、時にはそれが渦を巻いていることもある」と述べた。一般的な光景ではないが、ハンプトン氏は3回ほどそのような現象を見たことがあるという。
この渦巻きの様子は、地球物理学研究所の全天球カメラでタイムラプスで捉えられ、広く拡散された。また、オーロラショーに出かけた写真家たちも、その写真をソーシャルメディアに投稿した。素晴らしいオーロラ写真で知られるプロカメラマンのトッド・サラト氏は、「美しいオーロラショーの最中にアラスカ上空を通過したため、私を含む多くのナイトウォッチャーを驚かせた」と、AP通信に対しEメールで語っている。
このロケットは、約25個の衛星を積載し、14日の夜にカリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙空軍基地から離陸した。燃料投棄のタイミングにちょうど北極圏を通過したことで、アラスカの広い範囲で青い渦巻きを見ることができた。
なお、1月には、ハワイ島の上空で別の渦巻きが目撃されている。国立天文台のすばる望遠鏡の外側にあるマウナケア山頂のカメラが、夜空に浮かぶ渦巻きを捉えている。研究者たちは、フロリダのSpaceXロケットで先に飛び立った軍用GPS衛星の打ち上げによるものだと述べている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.4.18)