米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げを行った影響で、ホノルルのインフレ率が緩和されつつあるとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
12日(水)に発表された米国労働統計局の報告によると、オアフ島の12カ月間のインフレ率は、1月は5.2%だったが3月には3.3%に低下した。また、消費者物価は3月、過去2カ月間で0.6%上昇している。なおアメリカ全国で見ると過去1年間で3月の物価が5%、2月から3月にかけて0.1%上昇しており、ホノルルもこの傾向に沿っていると見られている。
ハワイ州ビジネス経済開発及び観光局(DBEDT)チーフエコノミストのユージーン・ティアン氏によると、ホノルルのインフレ率は2022年5月から鈍化しているという。「3月のインフレ率3.3%は想定範囲内だった。DBEDTは2023年のインフレ率を3.1%と予測していた。ちょうど1年前の2022年3月のインフレ率は7.5%で40年ぶりの高水準だった。今年のハワイのインフレ率は、今後数カ月で2%から3%の範囲になると予想している」と語っている。
インフレ率が低下しているからといって、物価が安くなっているわけではない。エネルギー全般は前年比5.4%増、電気代は15.7%増と大幅な上昇となった。衣料品は15.4%上昇し、食品・飲料は4%、住宅は1.9%上昇した。
しかし、より細かい単位で見ると、いくつかのカテゴリーでは改善しているところもある。エネルギーは過去2カ月間に3.5%減少し、電気は4.1%減少した。ガソリン価格は同期間に3.2%の減少、食品・飲料費は0.2%減少している。また、住宅費はわずか0.8%の上昇にとどまった。
FRBは来月、4分の1ポイントの追加利上げを予測している。「金利はまだFRBの目標の2%をはるかに上回っているが、FRBは今年、利上げの速度を落とし、その規模を縮小するだろう」とティアン氏は述べた。「これによって国内の景気後退の可能性を回避できるかもしれない。インフレデータは良いニュースだ」
ホノルルのインフレ率は2021年から2022年にかけて全米レベルを下回っており、今後数年間はその傾向が続くと見られている。米国経済が完全に回復したのに対し、ハワイはパンデミックによる打撃からまだ回復していないためだという。
「ハワイのインフレ率の低下は、主に住宅によるもので、ハワイの主要住宅(Primary Residence)の家賃のインフレ率は、パンデミックの間、全米平均より低くなっている。3月、米国の主要住宅の家賃は8.8%上昇したが、ハワイの家賃は2.0%しか上昇しなかった」とティアン氏は説明する。
TZエコノミクスの代表のポール・ブリューベーカ氏は、ホノルルのインフレ率の継続的な低下について、まさに予想通りだと述べた。「直近の2年間の一過性のインフレ高騰によって、期待インフレ率が固定されなくなるなど実際には起こらなかったが、供給ショック要因(サプライチェーンの問題やロシアのウクライナ侵攻、鳥インフルエンザなど)が需要側要因(労働市場のタイト化、ハワイを含む失業者1人に対し2件の求人、不合理な賃金価格スパイラルへの恐れ)に圧倒されるといった悲観的な声が強まっていった。その代わりに、逆V字型の軌道を描くという私の予想が検証された」と、Eメールで語っている。
「ホノルルの場合、インフレは2021年3月以降、2年間の過剰な財政刺激策に続いて始まった。2020年3月から2021年3月までの間に5兆ドルではなく、4兆ドルの刺激策で十分だったのでは? ホノルルのインフレは2022年3月にピークを迎えており、しかし2023年3月の時点では完全に消散したとは言い難い」
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.4.13)