イギリスの大学生が、AI技術を使って罰金取り消しを求める書面を作成し、駐車違反の罰金を免れることができたという。
この学生は、ヨーク州在住でヨーク・セント・ジョンソン大学に通う22歳のミリー・ホールトンさんで、BBCに対し、「言いたいことをはっきり言うのは難しいので、ChatGPTがやってくれるかどうか試してみようと思った」と語っている。
ホールトンさんが使用したのは、オープンAIの「チャットGPT」だ。ホールトンさんに科せられた違反金は60ポンド(約9800円)だが、彼女が駐車許可証を持っている場所に路上駐車した際に、不当に発行されたもの。ホールトンさんは、AIによる書面作成を思いつくまでは、この違反金を支払うつもりだったという。
ホールトンさんは、チャットGPTに、「駐車違反の切符を切られたので、議会に手紙を書くのを手伝ってほしい」と依頼。「いつ、どこで、何が起こったのか、なぜそれが悪いのか、そして罰金についての参考情報をすべて入力すると、数分後には完璧な形でこのケースに合った回答が返ってきた」という。また、書面には、「私は学生で、2年分の許可証を支払っており、わざわざ禁止されている場所に駐車するつもりはない」とも書かれていたという。
この書面を受け、地元当局は罰金を取り消した。この結果に、ホールトンさんは安堵したという。
人工知能研究団体のオープンAIは、昨年11月にAIチャットボットのチャットGPTを公開。その最新版であるGPT-4は、「様々な専門・学術ベンチマークで人間レベルの性能を発揮する」とされている。ユーザーがシステムに情報を入力することで、詩やスピーチ、さらには宿題なども作成することができるとあり、世界中で話題となっている。
チャットGPTおよびGPT-4は、その影響力から様々な波紋を呼んでいる。
先週、イーロン・マスク氏やアップル創設者のスティーブ・ウォズニアック氏を含む2000人以上の技術専門家やリーダーなどが、研究所に対し、GPT-4より強力なソフトウェアに関する研究を少なくとも6カ月間休止するよう求める公開書簡に署名した。また、チャットGPTはイタリアではすでに禁止されており、プライバシーに関する懸念から同国のデータ保護局による調査を受けている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.4.3)